アイクの不動産担保ローンの疑念?
Y男氏は、1999年10月初めころ、妻から、「息子のMが借金をしているということで、ご相談したいことがあるということで、アイクの人がくる」との話を聞いた。
Y男氏は、借金が大嫌いだった。息子から借金があるなどということは聞いたこともなかった。息子は仕事に行っているので、息子か聞くことはできない。妻に聞いても、借金があるようだ程度のことしかわからなかった。
アイクの社員は、Y男氏宅を訪れて、次のような話をした。
Mさんは、何件かから借金をしている。それをまとめてあげると言われた。まとめるということが、どういうことか聞いたところ、「まとめるについては、土地を担保にすると簡単にできます」そして、「この辺の土地の金額が、どの位で総額でいくら位の価値がある」ということまで話された。
Y男氏は、アイクの担当者の話に驚き、ともかく、息子が帰ってから相談すると話して帰ってもらった。
Y男氏が、息子に聞くと、6件で約300万円位の借金があるということだった。
この時の債務の中には、すでに、10年以上支払っていたものもあり、利息制限法での元本充当計算を行えば、相当多額の過払いとなるものもあった。その外にも、過払いが確実な債務があり、その両方で100万円以上だった。
Y男氏は、息子がアイクから借りる450万円の担保提供をして連帯保証人となった。
その後、Y男氏は、2001年6月に、また、息子が金を借りたということで、再度、不動産担保ローンにする必要があると言われて、息子が金550万円を借りるについて、担保提供し、連帯保証人になった。
息子は、次のように言っている。
息子は、平成2年ころからサラ金から金を借りていた。そして、平成9年ころアイクに金を借りに行き、50万円を貸してほしいと言ったところ、実父が不動産を所有しているかどうか聞かれた。そして、50万円出せるかどうかわからないけど、審査すると言われた。そして、「今日のところは30万出してあげるが、こんな生活やめて、お父さんに相談して、うち、不動産担保やっているから、まとめた方が払うのも一カ所だし、支払いやすくなる」と言われた。しかし、息子は、「間違っても父には言えない」と断った。
その後、アイクへの毎月の支払金(12,000円)の支払が2〜3日遅れただけでも、「こんな状態ならお父さんに言ってやってもらわないとうちも困る」と言われた。それでも、息子は、親には何も言わなかったのに、アイクの担当者が、息子にはなんの説明もなく、父親のY男氏のところに行ったという。
息子は、不動産担保ローンにした後は、お金が借りられないと思っていたため、アイクに電話をして、「お金に困っているけど、どこからか借りられないか」と相談した。すると、「他で借りてもらっては困る」と言われて、上のほうに掛け合ってあげる。以前使っていたカード持っていますか」と言われた。「持っている」というと、「それを使えるようにします。50万円用意します」と言われた。
そして、アイクから無担保で50万円を借りた後、別の会社からも20万円を借りた。すると、アイク担当者は、「どういうことで、他から借りているんですか。浮気したらだめですよ」と言われ、「見逃せない、利率を17・5%から15%にするから、もう一回お父さんに話してくれ」と言われたが、息子は、「冗談じゃない。今度、言ったら殺される」と言って断った。
そうすると、勤務先に何回もアイクの担当者から電話がきて、「おとうさんに言ってくれましたか」と聞かれた。「言っていない」と言うと、「僕はいいんだけど上から言われるんだよね」「おとうさんに相談してくれないと、僕が、ガス管加えなきゃならない」などとしつこく言われたため、息子が父親のY男氏に話したという。
この相談を受けて、私は、次のような問題があると考えた。
- 借主には『内緒』で貸して、「あなたの秘密を守ります」などといいながら、借主が絶対に嫌だと言っているのに、父親に借主の借金のことを話すということは、重大な個人情報の漏洩ではないだろうか。
- 無担保でお金を借りる借主に、その家族の不動産所有情報を聞き出すということは、違法ではないだろうか。
- 不動産所有者がなんにも言っていない段階で、不動産の評価をしたりして、不動産担保ローンに追い込むことは、不法行為を構成するということになるのではなかろうか。
- 借主に対して、「自社以外からお金を借りてもらっては困る」というようなことを言うことはできるのだろうか。