全国ヤミ金融事犯捜査担当者会議
平成15年8月4日付で、「生活安全局長である瀬川氏の訓示」が出されている。
ヤミ金融事犯を撲滅するためには、今回の法改正を踏まえ、警察の総合力を発揮した強力な取締りと、適切な被害者対策を推進する必要があり、この2点について具体的に申し上げる。 第一点は、警察の総合力を発揮した強力な取締りの推進についてであります。 その1は、専従取締体制の確立についてであります。 改正法の施行を踏まえ、国民が警察に寄せる期待は、「警察は新法を武器にして徹底した取締りを行ってほしい」というものであります。 この期待に応えるためには、取締りの中核たる生活安全、暴力団対策の両部門はもとより、債務者からの110番通報等により取立て現場に最初に臨場する地域部門、各種の相談対応の窓口となる公聴部門等が相互に緊密に連携し、警察の総合力を発揮できる体制を構築する必要があります。 そこで、まず、各都道府県の実情に応じつつ、生活安全部門、暴力団取締部門を始めとする関係部門による「集中取締本部」を設置し、専従取締体制を確立した上、ここに関連情報を一元的に集約し、効率的な取締りを推進していただきたいのであります。 その2は、都道府県警察間の連携強化についてであります。(内容略) その3は、事件全容の徹底解明を通じた重罰の獲得と不法収益の剥奪についてであります。 ヤミ金融事犯においては、営業の外形上の主体となっている者の背後に、実質的な支配者が潜んでおり、そこに利益が流れ込む例が多々みられるところであります。 (中略) さらに、不法収益剥奪の観点からは、課税通報制度の積極活用にも配意する必要があります。(中略) その4は、ヤミ金融事犯の取締強化期間の実施についてであります。 諸君のご努力により本年に入ってのヤミ金融の検挙は、すでに昨年1年分に匹敵しているところであります。 〇検挙事件数は、229件で、統計開始(平成2年)以降最多であった昨年一年分に匹敵しているほか、〇検挙人員は469人、被害人員等は、16万6千人、被害額等は173億7000万円で、いずれも昨年一年間を上回っているところであります。 (中略) 第二点は、適切な被害者対策の推進であります。 その1は、相談への的確な対応に向けた教養の実施についてであります。 今回の法改正を踏まえ、各都道府県警察に対しては、今後、これまで以上の相談等が寄せられるものと考えられます。ヤミ金融事犯の被害者やその家族は、厳しい取立てに対し、我々の想像以上の恐怖心や切迫感を抱いているところ、その対応を誤ると警察のヤミ金融事犯に対する姿勢を問われかねず、昼夜を分かたず事犯に取り組む捜査員の努力も、正しく評価されない結果になってしまうことが懸念されるのであります。(中略) その2は、被害者の不安を除去するための多様な罰則の活用等についてであります。 ヤミ金融事犯の本質部分の一つとしてその過酷な取立てがあげられますが、こうした取立行為は、脅迫罪、恐喝罪、不退去罪、暴行罪等の刑法犯や貸金業規制法第21条の取立規制に触れることが少なくないと考えられます。 これらの罰則は、高金利罪等に比べ、捜査に時間がかからないという長所があります。そこで、事案に即してこれらを積極的に活用し、迅速な検挙を行うことにより、業者の活動を封じ、被害者の現在の不安を除去するとともにこれによる捜索を通じて高金利罪等の証拠を入手するといった着眼も必要であります。 この外、警告措置についても適切に実施し、相談を通じて被害者が安心を得られるよう努めていただきたいのであります。 その3は、関係機関・団体との連携の強化についてであります。 ヤミ金融被害への適切な対応を図る上では、警察のみならず、監督官庁である財務局、都道府県や、被害者に接する機会の多い消費者センター、弁護士会、司法書士会等の関係機関・団体との効果的な連携が重要であります。(以下略)
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感想
これまで警察に行っても、手応えがなく、失望を感じて帰っていたが、これで、警察は、積極的に対応せざるを得ないこととなった。このように警察が総力をあげて取締りにあたってくれるということを聞いても、ヤミ金が根絶されるとは思えないのが、現状だ。
検挙にしても、その数は、氷山の一角としか思えない。
抜本的なヤミ金退治について、さらなる検討が必要ではなかろうか。