宮崎信販のカードキャッシングは、みなし弁済の要件を満たしている?

カード利用契約時からの取引明細は明らかにする必要がないという驚くべき主張!

 私は、宮崎簡易裁判所で、宮崎信販から起こされたカード利用代金に関する訴訟を担当している。

 カード契約は、平成5年2月である。

 カード利用のキャッシングは、リボルビィングになっている。

 訴状によると、利息は、28・8%、遅延損害金は29・2%となっている。別表は、次のようになっている。

平成10年8/52万円
9/22万円
10/72万円
11/102万円
12/82万円
平成11年1/82万円
2/42万円

 利息制限法の元本充当計算では、いずれも、年利20%で次のような計算がなされている。

平成10年8月5日利用の2万円について

           
年月日 支払金額 期間 年利 利息・損害金 元金への入金 残元金
10.09.26 05320.00580020,000
10.10.06 8201029.201608019,920
10.11.10 4803529.20557019,920
10.12.08 4802829.20446019,920
11.01.08 4803129.20494019,920
11.02.03 4802629.20414919,911
11.02.03 4804029.20637019,911
11.03.15 4804029.20366019,911
11.04.07 4802329.20637019,911
11.05.17 4804029.20637019,911
11.06.16 4803029.20477019,911
11.06.26 4801029.20159019,787
11.08.05 4804029.20633019,787
11.09.10 4803629.20569019,787
11.10.08 4802829.20443019,787
11.11.09 4803229.20506019,787
11.12.09 4803029.20474019,787
12.01.06 4802829.20443019,787
12.02.08 10,4803329.205229,77010,017

 訴訟では、このような計算の結果、次のような請求をしている。

残元金 44万8305円
内金(1) 21万7632円に対する平成12年3月25日から
支払い済み迄年18・2%
内金(2) 20万8552円に対する平成12年2月9日から
1万円に対する平成12年2月27日から
1万円に対する平成12年3月27日から
各支払い済み迄
年29・2%の
割合による遅延
損害金を支払え

(1)は、銀行との間の貸越契約に基づく借入金を宮崎信販が代位弁済したものである。

(2)は、カード利用契約(平成5年契約)による残債務である。


カード利用契約によるキャッシングには、みなし弁済の適用がある!

   私は、この事件の訴状を見て、平成5年からのカード利用によるキャッシングに関してすべての取引経過を明らかにするよう求めた。

 すると、なんと、宮崎信販は、「宮崎信販のカード利用契約によるキャッシングには、みなし弁済の適用がある」と主張した。

 宮崎信販が貸金業規制法18条の要件を満たしていると主張している「リボルビングご請求明細書」の記載は、次のようになっている。

●ご利用残高情報
 前月繰越額        0円
 前月ご利用額  80,000円

●当月ご請求額情報
 当月分元金   10,000円
 当月分手数料   1,906円
 延滞金額         0円
 延滞損害金        0円
 限度超過額        0円
※ご利用残高合計 81,906円
 当月のご請求額 11,906円

●ご利用明細
 14.3.23 10,000円
 14.3.26 10,000円
 14.3.26 10,000円
 14.3.26 10,000円
 14.3.27 10,000円
 14.3.30 10,000円
 14.3.30 10,000円

ショッピング限度額
      2,000,000円
キャッシング限度額
        500,000円

今月の支払い元金 10,000円

尚、この「ご請求明細」は、訴訟になっている人のものではない。参考として宮崎信販が証拠に出したものである。

 このご請求明細で、何がわかるのであろうか。

 利息の率すら記載されてはいない。

 この明細で、どの借入元金に、どれだけの支払いがなされたのか、何もわからない。

 しかし、宮崎信販は、「みなし弁済」の適用があると主張している。

 宮崎簡易裁判所の担当書記官に聞いたところでは、これまでの訴訟では、みなこのような主張をしているという。

 キャッシング限度額が50万円で、繰り返し借入を行い、その残債務が、常に10万円を超えている状況においても、借入金額が10万円未満だということで、年20%の主張をし、それがそのまま通るということは、極めて問題である。

 キャッシング限度額が50万円で、現実の残元金が10万円を超えている場合には、年18%で元本充当計算を行うというのが当然であり、私が知っている実務ではそのようになっている。

 なんでも、主張すれば、それがそのまま裁判所で認められるというのは、問題ではないだろうか。