債権譲渡通知なしで、破産による免責債権の取り立てをしていた事実判明
昭和57年ころ、株式会社サンスイ・株式会社マルカワ・株式会社アクトファイナンス・株式会社千草・株式会社クラウンというサラ金があった。A子は、株式会社サンスイから夫に『内緒』で金を借りた。A子は、昭和53年ころから、夫に『内緒』で金を借りていた。A子のサラ金の借金については、実父が3回も金を出して整理したが、A子が、その都度、全部の借金を明らかにせず、一部を残したことから、それがさらに多額の借金になるという繰り返しであった。
A子は、昭和59年、又借金のことが発覚し、協議離婚した。A子の昭和59年当時の債務は、総額で600万円を超えていた。
A子の借金の整理については、前夫が150万円、実父が50万円を用意して任意和解の申し出をした結果、株式会社サンスイを含めて5社のみ同意しなかった。
同意しなかったのは、武富士・アコム・エサカ・ジャックスとサンスイだった。
A子は、前記5社と、実父・前夫が用立てた200万円を破産債権として破産の申立てをした。破産決定・免責決定は、昭和60年であった。
A子は、離婚時、小学校1年生だった双子の女の子供二人を連れていた。A子は保険外務員として懸命に働き、子供を養育した。前夫からの養育費は全くなかった。
A子が、自己破産の申立てしたころ、株式会社マルカワ・株式会社サンスイ・株式会社アクトファイナンス・株式会社千草・株式会社クラウンが合併し、株式会社アクタスが設立された。大手5社に継ぐ大手6社目となったのだ。しかし、その株式会社アクタスは、倒産した。倒産したのは、何時か正確には知らない。
A子は、破産で免責された昭和60年から丸7年を経過してから、甲社から、株式会社サンスイの債権を譲り受けたとして督促されたことは、このホームページで紹介した。
債権譲渡通知なしに破産免責債権の取立
甲社に対して、何時、どのようにして債権譲渡の通知がA子になされたか確認したところ、甲社の管理責任者は、債権譲渡の通知はしていないと断言した。
甲社の管理責任者に聞いたところ、株式会社サンスイから株式会社アクタスに債権が移ったということであるから、A子のところには、株式会社アクタスから、甲社に債権を譲渡したので、今後は、株式会社アクタスではなく、甲社に対して支払ってほしい旨の債権譲渡の通知がなされなければならない。そうでないと、A子は、なぜ、甲社に金を払わねばならないのかがわからない。にもかかわらず、甲社は、債権譲渡の通知はしていないが、話合いの結果、支払ってもらうことになったという。
A子は、「破産をして支払わなくてもよいと言われている」と甲社に話したが、甲社は、「借りたものは払ってもらわなければならない。甲社が譲り受けたので、払ってもらわなければならない。破産の時漏れていたのではないか」などと言って、A子に支払いを強要し、支払わなければ、電報を打ち、自宅の電話に、携帯電話に「支払え」との督促をしてきた。
仮に、破産して免責を受けていないとしても、昭和57年の契約で、昭和59年には支払いが行われていない債権であるから、商事時効の5年が経過していることは明らかある。
甲社は、「破産決定」とか「免責決定」などの書類を出してもらえば、請求はしなかったという。
しかし、これでは、全く逆ではないか。
A子は、きちんと手続をして、破産していること、免責を受けていることを話しているのであるから、甲社がそれを調査すべきは明らかである。私は、甲社に対して、請求した相手から、「破産している、免責を受けている」と言われたらどうするのかを再三問いただしたが、甲社は、自ら調べることは言わなかった。
株式会社アクタスが倒産した時、株式会社アクタスの債権(借用書)は、どのように処理されたのか。
甲社は、債権譲渡通知がされていないことを明確に認めた。
債権譲渡通知がされていない状況では、そもそも、自分が債権者だということで、請求すること自体許されないはずだ。
しかし、甲社の管理担当者の話からすると、A子のような被害者が、多数いると思わざるを得ない。
A子の件については、甲社に対する支払い済みの金員の返還と慰謝料請求、並び登録取消し等の行政処分の申立てをすることにした。貸金業規制法では、極めて厳格な債権譲渡の要件を定めている。しかし、現実には、この要件を満たした債権譲渡がきちんとされているとは思われない。監督官庁の責任が問われる。