国民生活金融公庫、時効債権で仮差押え、時効債権を支払えとの提訴

 国民生活金融公庫は、昭和58年にA社に1000万円を融資し、A社の社長であるBと、知人のCとDが連帯保証人となった。Dは、死亡し、相続人は相続放棄をした。

 昭和61年10月以降、A社は全く支払をしていない。A社は事実上倒産し、事業はしていない。

 連帯保証人のCは、平成5年ころ、地震で被害を受けた家を建て直した。住宅金融公庫からの金1100万円、銀行からの金500万円を借りて家を建てた。Cの所有する不動産には、住宅金融公庫の1100万円、銀行からの借入金500万円、個人からの借入金500万円の抵当権が設定されている。競売になったとした場合の価格は、多分、600万円前後だという。

 ところが、国民生活金融公庫は、平成13年6月になって、この不動産に仮差押えをしてきた。仮差押えによると請求債権は、次のようになっている。

残元金     7,920,000円
遅延損害金  16,825,248円
合 計    24,745,248円

 驚いたCは、弁護士会に無料法律相談に言った。仮差押えの書類に記載されているとおりだとすれば、「商事時効」(5年)が経過しているので、時効完成ということで、解決できるのではないかと助言された。

 ところが、今度は、本訴が提起された。

原告は、国民生活金融公庫
被告は、BとC
主債務者であるA社は、被告にはなっていない。

 訴状の内容でも、昭和61年10月以降全く支払はなされていない。
 国民生活金融公庫が事業資金として融資した金は、商法の適用を受けるので、商事時効の5年が経過すれば、消滅時効が完成することになり、債務者・連帯保証人が、時効の利益を援用する旨意思表示をすれば、支払義務がなくなる。

 勿論、時効は、本人が援用しなければいけないので、請求権がないとは言えない。
 しかし、公的機関は、時効の管理には非常にうるさい。特に、国民生活金融公庫は、内規で、非常に詳細な時効管理をやっている。そのような管理をしているにもかかわらず、商事時効が完成しているということは、少なくとも、当時の国民金融公庫の担当者が、全く返済能力がないと判断したものとしか思われない。
にもかかわらず、たまたま、連帯保証人が10年近くたって、住宅金融公庫から金員を借りて家を建てたということを調査し、このような訴訟を提起するということに怒りを感じる。

 Cは、妻が小さな食堂を経営し、Cは、出面取り(土方)をしてようやく住宅ローンを支払っている。もともと、支払能力がないCに対して、このような形で、訴訟を提起するということは、不法行為ではなかろうか。

 悪徳サラ金並ではないか、と思うのは、私だけだろうか。