保証人不要の保証協会付き融資の違法性
中小企業金融安定化特別保証制度は、中小企業者が金融環境の変化によって事業資金が必要である場合に、市町村の認定を受ければ、保証人なしで、金融機関(銀行)からお金を借りることができるという制度である。利用資格は、「貸し渋りを受けて事業資金の調達に支障を来している。取引金融機関の破綻により金融取引に支障を来している」中小企業者である。
A氏は、会社の代表取締役であるが、この制度を利用して金1500万円を借りることにした。銀行では、保証人が必要と言われた。A氏は、その時は、特別深く考えなかった。A氏は、Bに保証人を頼んで金1500万円を借りることにしたが、次のような条件を出された。
A氏が代表取締役をしている甲会社の資本金は、1000万円であるが、その内の700万円分の株式は、親会社である乙会社が持っていた。乙会社の社長であるC男は、甲会社の会長となっていた。
北海道信用保証協会は、A氏に対して、1500万円を保証協会付で融資するについて、親会社の乙会社が持っている甲会社の700万円の株式を買い戻すよう求めた。A氏は、いわれるままに、700万円の株式を買い戻すべく取締役会議を開き、融資先銀行と密接に連絡をとりあい、700万円で株式を買い戻すことになり、金1500万円の融資を受けた。A氏は親会社である乙会社が金融機関から借りいてる約1億円もの借入の連帯保証人にもなっており700万円の株を買い戻す必要は全くなかった。
1500万円の融資を受けたところ、その中から、244万7000円が別の銀行から借りいてる支払に当てられてしまった。つまり、今回の融資を受ける銀行とは、別の銀行から借りている借金の支払として支払わされたのである。このことは、A氏は、融資を受けてから1ケ月以上知らなかった。なぜ、わかったかと言えば、このような引き去りを認めるという念書を出せと言われたからだった。1500万円を借り入れてから1年半位たってから、親会社の乙会社の経営が逼迫し、甲会社は事実上事業をやめ、乙会社も倒産した。
B氏は、甲会社の連帯保証人として950万円余の金員を支払うよう北海道信用保証協会から督促された。B氏は、Aから、その内容を聞かされて驚き、酷過ぎるということで相談にきた。
B氏の疑問は、
- 元々、保証人不要であるのに、なぜ、自分が保証人にさせられたのか?
- 1500万円の融資の内、240万余円と、700万円は、全く甲会社は事業資金として使うことができなかったのは、どうしてなのか。
元々、各都道府県の保証協会は、各自治体と銀行協会が設立母体となっている半官半民の組織であり、保証人や担保のない人が金融機関から金を借りるについて保証をするものとして設立され、保証人は不要というのが、設立目的である。金融機関の窓口に備えつけられているパンフレットには、保証人が必要とは、全く書かれていない。そのため、保証協会付融資には、保険が付せられている。
この事例については、保証協会の在り方を含めて、保証債務がないとの訴訟を提起すべく準備中である。
国ぐるみで、国民を痛めつけるという代表的なものが、保証協会付融資の保証人取得であると、私は、昔から思っている。