悪質なテレホンキャッシング会社の取立規制違反事件発生
行政処分の申立てと刑事告訴を準備中
違反した会社: | 株式会社エル・アンド・エム・ワールド 株式会社キンダイ (いずれも、関東財務局登録貸金業者) |
テレホンキャッシングに関して極めて悪質な取立規制違反の事件が発覚しました。行政処分の申立て及び刑事告訴の申立てをしたいと考え準備中です。
事案の内容
S町在住の主婦A子(26才)が、夫に『内緒』で多額の借金を抱えて返済不能となった。A子は、平成6年10月12日、レディースメイト(株式会社エル・アンド・エム・ワールド)から20万円、平成7年1月31日に、ダイヤルプラザウィズ(株式会社キンダイ)から30万円を借りていた。この二社は、同一グループの会社であるという。A子は、多額の債務のため返済不能となったことから、平成11年10月末ころ夫に借金のことを話したため、夫がなんとか一括で返済できないかと銀行等に相談したが、借入ができない状態にあった。A子夫婦は、夫の両親と同居していたが、夫の両親には現在も借金のことは話していない。
A子は、10月25日の約定返済ができなかった。
平成11年11月2日、エル・アンド・エム・ワールドのカウンセラーと名乗る井上知一なる人物が、A子のところにきて、「ウイズとレディースメイトのことで札幌から来た」と言ったため、夫の親には『内緒』であり、こんなことがわかったら大変だと思ったA子は、「実家に言ってくれますか」と言ったところ、井上は、「どの位かかるか」と聞いたので「10分位」と言ったところ、井上が「一緒についていく」と言って、A子の実家(D町)に車で行った。A子は、3才の男の子を車に乗せ、11ケ月の子供を背負って車を運転して実家に行き、母親に「サラ金が取立にきた」と話したところ、母親から、「幾らいるのか」と聞かれため、井上に「幾らいるのか」と聞いたところ、井上が、「四万円あれば足りる」と話したため、A子は、母親から4万円を借りて、井上に渡した。すると、井上は、「先にいえばよかったが、一括で全額返済するか、保証人をいれないと帰れない」と言いだした。そして、車から降り、母親に「全額支払うか、保証人になってくれないかと帰れない」と再三言ったが、母親は、「保証人にはなれないし、全額支払うようなお金はない」と言った。この間、二度、A子は、被害者の会で相談にのってもらっている人に電話をしたところ、「井上と一緒に釧路にくれば、話を聞いてあげる」と言ってくれた。そのため、A子は、井上に、「行ってほしいところがある」と言って実家に戻った。子供二人を連れて釧路迄行くことができなかったからである。 母親が渡した金4万円は、ウイズとレディースメイトへのそれぞれの返済にあてられている。領収書は、A子宛となっている。井上は、レディースメイトの社員であるが、ウイズとはなんの関係もない。
A子が、実家に戻り、釧路の被害者の会に行くべく準備していると、井上は、「夫に合わせろ」と言いだした。A子が、実家に行こうとして家を出る時、漁に行っていた夫が帰ったのを井上は、目撃していたらしい。
A子は、二階にいる夫のところに行き、事情を話して夫に階下に降りてもらった。夫は、井上に、釧路に行ってくれるよう話したところ、井上は、「釧路に行けば金を払ってくれるか、保証人を入れてくれるのか」といい、釧路に電話をするよう命令した。そのため、夫が釧路の被害者の会に電話をして、その旨の話したところ、「保証人にもならないし、一括でも返済はしないが、話を聞く」と言ったところ、井上が、怒り出し、「一括で支払うか、夫が保証人にならないと帰らない」「うちに全部頼んでくれたら、他のをチャラにすることもできる」などと言い出し、部屋に上がり込んで、一向に帰る様子がなかった。
このまま井上でいると、夫の母親が帰宅するなどして大変なことになると思った夫は、やむなく、「保証人になる」ことにして、井上が出した、ウイズとレディースメイトの両方の書類に署名・押印した。
問題点
1、井上は、株式会社エル・アンド・エム・ワールドの社員であり、株式会社キンダイの社員ではない。にもかかわらず、両方の債権の回収のための督促をしている。これは、明らかに貸金業規制法に違反するのではないか。ダイヤルプラザウィズの債権の回収を井上で行なうことは、貸金業規制法に定める回収資格がないものの回収行為である。
2、支払い義務のないものに返済要求をしたり、保証人になるよう強要したことは明らかであり、貸金業規制法に定める取立規制に違反する。
私は、この事実をレディースメイトとダイヤルプラザウィズに指摘し、貸金業規制法の取立規制違反ではないかと問いただしたところ、ダイヤルプラザウィズの東京の管理の責任者が、「確かに、親のところに行ったということだが、一緒についていってくれと言われてついて行っただけと言っている。一緒の車で行くと問題があるので、別々の車で行ったということです。」という回答であった。 少なくとも、ダイヤルプラザウィズは、レディースメイトの社員が、ダイヤルプラザウィズの回収も担当し、相当離れた借り主の実家の母親のところにまで行って回収してきたことは認めている」ことになる。
母親は、サラ金会社の男の人と娘がきて、サラ金会社の男が、「一括で支払ってくれるか、保証人になってくれない、帰れない」と言った。娘は、おろおろして玄関を出たり入ったりしていたと言っている。
このような取立は、貸金業規制法に定める取立規制に違反する取立であることは明らかである。
今後の予定
1、関東財務局に対して、行政処分の申立てをする。2、貸金業規制法に定める取立規制違反について、刑事告訴する。
感想
いまだに、このような常軌を逸した取立が行なわれていることに驚愕しました。このような取立は、貸金業規制法以前の問題と考えていた私の考えが、いかに甘いかを思い知らされました。