驚くべき時代錯誤!
公証人の謄本・添付書類は取りに来い!



 ある会社が、銀行預金の債権差押命令の送達を受けた。

 会社の代表取締役は、出奔していないため、現在の代表取締役は、事情がよくわからない。

 どうも、前の代表取締役は、現実の実印とは違う印鑑で、お金を借りたらしいという。

 私は、会社からの委任状をもらい、会社の印鑑証明書を添付して、公正証書の謄本と、公正証書の作成に用いられた添付書類の謄本を交付してほしいと、現金書き留めで依頼した。

 公証人も、法務省の公証人係も、「代理人本人が出頭しなければ、謄本は交付できない」という。

 公正証書の作成については、本人が知らない間に、債権者が、勝手に公正証書の作成を公証人に頼んで作ってしまい、大きな問題となっている。そのため、私たちは、公正証書を作成する時には、本人の意思確認をしてほしいと再三申し入れている。しかし、現実には、公証人は、債権者である会社から委任された代理人が出頭しているということで、(現実には、出頭していない)印鑑証明書と実印が押されている委任状だけを確認して公正証書を作成している。

 できあがった公正証書の謄本と、公正証書作成のための添付書類を交付してほしいと、弁護士が、代理人となって委任した場合でも、本人(この場合の本人とは、代理人である弁護士のこと)が、出頭しなければ、果たして、本人が公証人に対して、謄本を交付してほしいという書類を書いたか否かもわからない」ということのようだ。

 公正証書は、債権者が好きなところで作成できる。

 現実には、私は、これまで、再三、公証人に、どうようの依頼をして、郵便で公正証書の謄本・公正証書作成の添付書類を郵送してもらっているが、それは、すべて、法律に違反して便宜的に行ったのだという。

 こんなこと、おかしいと思いませんか。

 裁判所に、郵送で、判決の謄本の交付の申請をしても、裁判所は、郵送で送付してくる。

 そもそも、公証人は、公正証書の謄本を郵送するときには、特別送達という方法で郵送するが、現実に本人が受け取ったか否かはわからない。また、本人が受け取らない場合には、「書き留めに付する送達」なるもので送達することもある。

 公正証書謄本や公正証書作成の添付書類が、必要な場合は、請求異議などの訴訟手続きに必要なことが多く、急いで入手することが必要である。

 公証人や法務省の時代錯誤な考え方について、みなさんどう思われますか。