オリエントファイナンス、
あきれた言い分の訴訟を取下げ?!
サイト掲載: 2018年2月16日
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オリエントの自動車購入に関する信販契約の内容
オリエントは、「共通条項第5条」(反社会的勢力の排除)に次のような内容を定めている。
・項 申込者及び連帯保証人予定者は、申込者もしくは連帯保証人予定者が、現在、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴利団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標榜ゴロ又は特殊知能暴力集団等、その他これらに準ずる者(以下これらを「暴力団員等」という)に該当しないこと、及び次のいずれにも該当しないことをと表明し、かつ将来にわたっても該当しないことを確約するものとします。と定めている(・~・略)。同条・項略。
・項 申込者又は連帯保証人予定者が、暴力団員もしくは・各号に該当した場合、もしくは・各号のいずれかに該当する行為をし、又は・の規定に基づく表明・契約に関して虚偽の申告をしたことが判明した場合、融資金融機関又は会社は、直ちに金銭消費貸借契約又は立替払契約もしくは保証委託契約を解除することができ、かつ、融資金融機関又は会社に生じた損害の賠償を請求することができるものとします。この場合、申込者又は連帯保証人予定者は、申込者又は連帯保証人予定者に損害が生じたときでも、融資金融機関又は会社に対し何らの請求をしないものとします。と定めている。
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オリエントと自動車の購入者との間の前記契約条項は、オリエントが、自動車の購入者や連帯保証人が反社会的勢力に属することを秘して契約当事者となった場合、オリエントが、それを知った時、契約を解除することできることは、勿論、その契約によって生じた損害の賠償を求めることができるとする契約となっている。
自動車の購入者は、加盟店との間において生じた事由をオリエントにも対抗できることは割賦販売法に定められている。
つまり、オリエントの加盟店の反社会的勢力である暴力団員である営業社員により締結させられた契約について、自動車の購入者が、契約を解除することができることは勿論、そのことによって、オリエントやオリエントの加盟店が被った損害を賠償する義務がないことは当然である。
翻って、自動車の購入者は、オリエントの加盟店の反社会的勢力である暴力団員によって契約を締結させられたことによって、自動車の購入者が受けた損害の賠償を求めることも当然にできることになる。
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Aさんが暴力団員と知り合い、約半年で1,000万円を超える借金をさせられた経緯は次のようであった。
- Aさんは、平成27年11月ころ、同僚とスナックに行き、あとで、名前のわかった暴力団員と知り合った。
- 暴力団員は、平成28年2月1日、ヴェルディング株式会社に営業社員として雇用された。
- 平成28年5月19日、Aさんは、暴力団員から呼び出され、会社を経営するから手伝ってほしい旨言われた。その際、暴力団員は、「以前、俺は恐喝で捕まってるし釧路で何かあったら言え」と言われた。Aさんは、暴力団員にこのように言われて、暴力団員に逆らったら、釧路に居られなくなるのではないかと恐怖を覚えた。
- Aさんは、その後、次のように暴力団員に金員の借入をさせられたりクレジット契約をさせられた。
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平成28年5月26日
みずほ銀行で貯金口座・通帳・クレジットカードを作らされた。このカードで、暴力団員がどのような借入れをしたかは全く知らされなかった。 -
平成28年5月26日
Aさんは、暴力団員から、Aさんの車は、社長らしくないから俺の車を買えと言われて、釧路信用組合桂木支店に連れていかれた。
Aさんは、暴力団員が信組には話が通っているからと言われて、信組の店内に入り、「暴力団員に言われてきた」旨言うと、「この書類に名前だけ書いてくれ」と言われたため、出された書類に名前を書いた。
その書類には100万円と書かれていた。Aさんは、釧路信用組合の社員から100万円を渡され、外で待っていた暴力団員に100万円を渡した。
暴力団員は、俺の車がなくなったので、俺の車を買えとAさんに言い、蕎麦屋に連れていかれた。Aさんは、暴力団員が出した書類に「サインすれ」と言われて、内容も確認させてもらえないままサインをさせられた。
この書類が、本件で問題となっているレクサスの契約書である。
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平成28年6月10日
Aさんは、暴力団員に損保ジャパンと保険契約をさせられた。
同日、Aさんは、暴力団員にプロミスに電話で借入れの申込をさせられた
Aさんは、プロミスのATMで契約をさせられ、契約書とカードを暴力団員に渡した。
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平成28年6月13日
Aさんは、暴力団員から、アイフルに借入れの申込をさせられカードを作らされた。カードは、暴力団員に渡せといわれて渡した。 -
平成28年6月14日
Aさんは、暴力団員から金が必要だと言われて、自分のゆうちょ銀行の貯金から100万円を引き出した。 -
平成28年6月15日
Aさんは、暴力団員からレクサスが傷つけられたと言われ、保険屋にその旨言わされた。Aさんは、暴力団員から、ヴェルディングに修理させるように言えと言われて、その旨ヴェルディングに言った。 -
平成28年6月17日
暴力団員の運転で、UFJ銀行札幌支店まで連れて行かれ、カードを作らされた。そのカードは、暴力団員に渡した。 -
平成28年6月19日
Aさんは、暴力団員から呼び出され、三菱UFJのカードで20万円ずつ100万円を引き出すように言われて引出し、自動車で待っていた暴力団員に渡した。 -
平成28年6月19日
暴力団員がAさんの家にきた。そして、Aさんが6月14日にゆうちょ銀行から引き出した100万円を持って行かれた。さらに、みずほのクレジットカード・北洋のクレジットカード・しんきんのカード・三菱UFJのカード・JAのクレジットカード・ETCのカードを持って行かれた。
暴力団員は、Aさんが暴力団員から作れと言われて作ったみずほ銀行・北洋銀行の通帳も持って行った。 - 平成28年6月20日
暴力団員に呼び出され、ラピッドの申込の契約書を送らせられた。 - 平成28年6月21日
ラピッドから書類に不備があったと連絡があり、再度、FAXで書類を送り直した。 - 平成28年6月28日
暴力団員からホイールをAさんのJAのカードで買うと言われて、JAカードの暗証番号を教えた。 -
平成28年7月7日
Aさんは、暴力団員にみずほ銀行に行かされ、その後、佐藤司法書士のところに連れて行かれた(乙9・平成28年7月7日の項)。
この日、Aさんを代表取締役とする会社が設立されたようである。 -
平成28年7月19日
Aさんは、暴力団員から、修理費用として保険でヴェルディングに支払われた41万円を返せと言えと言われて、ヴェルディングの社長にその旨の電話をした。 -
平成28年7月20日
Aさんは、暴力団員に、auショップで、スマホ2台・タブレット1台の契約をさせられた。その後、Aさんは、暴力団員から、同様に言われて、ドコモショップに行きスマホ2台の契約をさせられた。
Aさんは、暴力団員に、auスマホ2台、タブレット1台、ドコモのスマホ2台を暴力団員に渡した。 -
平成28年7月21日
Aさんは、暴力団員からヴェルディングに行って金を受け取ってこいと言われて、27万円を受け取ってきたが、暴力団員から「41万受け取って来いと言ったべ」と脅かされた(乙9・平成28年7月21日の項)。 -
平成28年7月22日
Aさんは、暴力団員から言われているようなことをすれば、勤務先にも迷惑がかかるのではないかと思い、これまでの経緯を勤務先の上司に相談をして弁護士に相談をすることとなった(乙9・平成28年7月22日の項)。 -
平成28年9月16日
Aさん代理人弁護士今瞭美は、本件契約に関してAさんから相談を受けたこと、本件契約の経緯についてオリエントに受任通知を出した。
この書面には、暴力団員の名前を明示していることから、オリエントが、暴力団員について「反社チェック」をしていれば、暴力団員が暴力団員であることを知ることができた。
オリエントが、暴力団員が暴力団員であることを知り、本件契約を解除し本件自動車を取り戻すための措置をとっていれば、旬日を経ずして、オリエントの所有物件である本件自動車を暴力団員から取り戻すことができた。
そうすれば、本件自動車は、契約から4ケ月弱で、オリエントの下に戻っていた。そうすれば、本件自動車の交換価値は、契約時とそれほどの価格の差なく、転売できたことは明白である。
オリエントは、本件自動車の査定価格は、金156万9,341円であるという。
本件契約時の価格は、425万円である。
わずか8ケ月でなぜこのように減額になるのかわからないが、それは、オリエントが当然なすべき対応をしなかったことによって生じたものであり、Aさんの責任となるものではない。
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Aさんが、暴力団員により契約させられた契約について
- Aさんは、暴力団員である暴力団員から道具として利用され、契約の内容も知らされないまま次々と契約をさせられた。
- オリエントは、個別信用購入あっせん業者である。 個別信用購入あっせん業者が、個別信用購入あっせん関係受領契約を締結しようとする場合、「個別支払可能見込額」を調査しなければならない。 個別信用購入あっせん業者は、「個別支払可能見込額を超える個別信用購入あっせん契約を締結してはならない(割賦販売法第35条の3の3・同3の4)」法律上の義務を負っている。 割賦販売法第38条は、「利用者又は個別信用購入あっせん業者若しくは役務の提供を受ける者が支払うこととなる賦払金等が当該利用者又は購入者もくしは役務の提供を受ける者の支払能力を超えると認められる割賦販売法又はローン提携販売を行わないようつとめなければならない」と定めている
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個別信用購入あっせん業者に課せられた割賦販売法第35条の3の3・同3の4に定められた「契約を締結してはならない」とする過剰契約防止義務は、同法38条に定められた「行わないようにつとめなければならない」とする過剰契約防止義務とは全く異なる。
即ち、オリエントは、本件において、Aさんに支払能力があるか否かを調査し、Aさんに支払能力がない場合には、契約を締結してはならない法的義務があるのである。オリエントが、Aさんに本件契約により課せられた賦払金の支払能力があるか否かを調査することは極めて容易である。オリエントは、Aさんに源泉徴収票もくしは給与明細の提出を求めるだけでよいからである。本件のような高額な契約を行う業者が、購入者に源泉徴収票もしくは給与明細の提出を求めるのは当然であり、購入者が拒否するはずもない。購入者が拒否する場合は、契約を締結することができる購入者ではないこととなる。
本件において、オリエントが、Aさんに源泉徴収票もしくは給与明細の提出を求めていれば、本件契約が成立しなかったことは明白である。 -
本件契約において、Aさんは、契約内容も全く知らされないまま契約書に「サイン」のみをさせられた(乙9・平成28年5月26日の項)。
即ち、本件契約の契約書の内容は、すべて、オリエントの加盟店の暴力団員である営業社員である暴力団員が、Aさんにはなんら相談することなく記載したものであり、Aさんは、契約の内容を全く知らないまま「サイン」のみをさせられたのである。
ところで、いわゆる加盟店による名義借り等による消費者被害の防止について、通商産業省は、社団法人日本割賦協会宛に、「個品割賦購入あっせん契約をめぐる消費者トラブルの防止について」指導を行っている(昭和57年4月13日・昭和58年3月11日)。 - 本件は、いわゆる加盟店による名義借り契約よりも悪質な契約である。即ち、名義借り契約は、多くの場合、名義を貸してほしいと頼まれて承諾した者が契約名義人となるものである。しかし、本件の場合、加盟店の営業社員が暴力団員であり、その暴力団員が使用する車両を得るため、契約名義人になる者(Aさん)に契約の内容も知らせないまま「サイン」のみをさせたという契約である。
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オリエントの加盟店であるヴェルディングは、裁判所からの調査嘱託に関する回答において、「暴力団員の客層が暴力団関係者の様な雰囲気が多かった」「周りから暴力団関係者じゃないかとゆう噂を何度も耳にしましたし、『気をつけろ』と助言されることが多々ありました」と裁判所に回答している。
オリエントには、加盟店に対して反社会的勢力である暴力団員を営業社員として営業活動を行わないように指導監督する義務がある。従って、オリエントは、加盟店に対して、反社会的勢力である暴力団員と疑われるような社員を雇用しないように注意すべき義務がある。
そして、もし、加盟店に反社会的勢力である暴力団員や暴力団員と疑われる者がいる場合には、その社員が立替払契約の担当者となることがないように注意しなければならないし、仮に、暴力団員である営業社員が契約に関与している場合には、購入者が、真に購入意思があるかないか等を慎重に検討した上で契約を締結しなければならない。 - オリエントは、反社会的勢力の暴力団員が立替払契約の担当者となったということが判明した場合には、その契約の契約名義人となった被害者に対して、反社会的勢力である暴力団員が行った契約であることを説明し、その契約を解除し、契約名義人が受けた損害を賠償すべき契約上の義務がある。
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本件において、オリエントは、Aさん代理人から、Aさんが、理不尽な方法で多額の債務を負担させられていること、本件車両は暴力団員が乗り回していること、等から警察に相談をしていること等の説明を受け、暴力団員から「自動車の返還を求めていただきたい」旨の連絡を受けていた(甲10)
Aさん代理人弁護士は、書面には、暴力団員が「暴力団員」であることを記載していないが、電話でオリエント担当者やオリエント代理人に話したときには、暴力団員が暴力団員であることを話している。
オリエントは、このような連絡を受けた場合、本件契約を行った加盟店に本件契約の担当者が誰であるのか、どのような経緯で契約したものか等を調査すれば、本件契約の担当者が暴力団員であることが判明したし、オリエントの加盟店であるヴェルディングが、暴力団員について苦慮していたことが判明した。
オリエントは、加盟店から前述のようなことを聞けば、暴力団員が反社会的勢力に属する暴力団員であったか否かを調査すべき義務がある。調査すれば、暴力団員が暴力団員であることは容易に判明した。
オリエントは、暴力団員が暴力団員であることが判明した段階で、本件契約の当事者にさせられたAさんに対して、本件契約を解除し、Aさんが被った損害を賠償するべき義務があったのである。
しかるに、オリエントは、加盟店の担当者が暴力団員であったか否かは、オリエントには無関係である旨主張している。
オリエントの主張は、オリエントが定めた契約上の義務を果たさないものである。
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オリエントは、
なぜか、この訴訟を取り下げると言って取り下げた。
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Aさんは、オリエントの加盟店の暴力団員によって契約をさせられ、オリエントが理不尽な主張をして訴訟を提起したことにより受けた損害の賠償を求める訴訟を検討している。