オリエントファイナンスのあきれた言い分!
ヤクザに騙された消費者被害者を「詐欺よばわり」
サイト掲載: 2017年9月30日
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Aさんは、23歳、団体職員として働き、手取り月収13万円前後だったが真面目に生活していた。銀行や消費者金融、クレジットからお金を借りたことはなかった。
たまたま、休日にスナックで一緒に飲んだAさんより20歳以上も年上の男Bと何回か、同じ店で会った。平成28年2月ころのことである。
Bは、Aさんに、一緒に会社を立ち上げようと持ちかけ、Aさんを社長とする会社を設立した。会社の設立は、平成28年7月7日となっている。会社の目的は、非常に多岐に渡っている。商業登記簿謄本によれば、次のようになっている。
- OA機器・事務用機器・各種防犯器の販売・リース、設置工事及び保守業務
- インターネット回線及びインターネントプロバイダーの契約取次業務
- コールセンターの運営
- 一般労働者派遣事業及び有料職業紹介事業
- ホームページの作成及び管理
- 広告代理店業
- インターネントを利用した通信販売
- 飲食店の経営
- 金券ショップの経営
- コインランドリーの経営
- ネイルサロン、エステティッククサロン、日焼けサロン、その他美容に関する事業
- 旅客自動車運送事業及び自動車運転代行業
- 自動車の販売及び買取並びに自動車整備及び修理業
- 宅地建物取引業並びに不動産賃貸業及び不動産管理業
- 損害保険代理業及び自動車損害賠償保障法に基づく保険代理業
- 古物営業法に基づく古物の売買及び交換並びにこれらの受託業務
- 前各号に附帯する一切の事業
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しかし、現実に行うこととなっていたのは、飲食店の経営だった。店舗を賃貸し、什器備品を購入したりしていたようである。
Bは、会社を設立したのだから自動車が必要だと言い、Bが乗っていた中古車を会社で使うので、買うようにと言った。そして、Aさんは、信用金庫から100万円を借りて、Bに渡し、Bの中古車が会社の自動車ということになった。
すると、Bは自分の乗る車がなくなったので、自動車を買うようにとAさんに言った。
Aさんが買わされた自動車は、レクサスという中古の高級車で、契約書によれば、次のようになっていた。
付属品・オプション 500,000円
諸費用 150,000円
現金価格合計 4,250,000円
現金 500,000円
残金 3,750,000円
分割払手数料 1,081,556円
分割支払金合計 4,831,556円
お支払回数 84回
第1回分割支払金 59,056円
第2回以降分割支払金 57,500円
支払はBがするということで、購入してからずっとBが乗り回していた。
Aさんは自動車の他にも、会社で必要だと言われて、銀行やクレジット会社、消費者信用会社からお金を借りてはBに渡した。
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Aさんの契約当時の手取りは13万円で、生活費は、およそ次のようになっていた。
灯油 2,063円
水道 1,234円
下水道 2,571円
住宅使用料 14,800円
電気料 4,159円
合計 24,827円
以上の外、次のような毎月の必要経費がある。
ガソリン代 15,000円~20,000円
携帯電話代 10,000円前後
食費代 30,000円前後
合計 55,000円~60,000円
勤務先のカードで食料品や身の回りのものを購入していた。このような生活費関連費用は、およそ月14万円前後であった。Aさんの手取り給与は、月134,002円であるから、自動車ローンを支払うような金銭的ゆとりは全くなかった。
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ところが、契約書には、Aさんの「税込み年収は550万円」と書かれている。Aさんが、そのような給料をもらっていると話したことはない。
Aさんが、飲み屋で知りあったBは、暴力団員で、オリエントファイナンスの加盟店で中古車販売業者の営業社員であった。
Aさんの地方で、23歳の団体職員で、年収が550万円というのは、ほとんどありえない。
クレジット会社は、割賦販売法第という法律で、過剰契約防止義務が課せられている(第38条)。
23歳で、550万円の税込み年収がある人もいるかもわからないが、ほとんどないと思われるとしたら、源泉徴収票か,給与明細、所得証明を出させて本当にAさんの収入が550万円であるかわかることである。
本当に自分が乗りたいと思って、自動車を買うなら、所得証明や源泉徴収票あるいは、毎月もらう給与証明を提出しない購入者はいないと思われる。
しかし、Aさんは、そのような書類の提出は求められなかった。
オリエントは、加盟店から出された書類をそのまま信用したのだろう、手数料を含めて500万円弱の契約が認められた。
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Aさんは、自動車を購入した直後に、Bから、自動車が何者かによって傷つけられたので、保険請求をするように指示された。
保険金が40数万円出た。勿論、そのお金は、自動車修理をした会社に支払われるべきものである。
ところが、Bは、Aさんに、自動車販売会社(Bの勤務先会社)から、その保険金をいろいろといちゃもんをつけてもらってこいと命令した。
Aさんは、半額の25万円前後の金をもらってきてBに渡した。
Bは、残りのお金ももらってくるようにと指示した。
このあたりから、Aさんは、Bがおそろしくなった。
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Aさんは、Bに、2月から8月までの約半年で、1,000万円近い借金をさせられていた。
Aさんは、このまま勤務先にいたら、勤務先にも迷惑をかけることになるかもしれないと思い、勤務先もやめた。
Aさんは、事情を父親に話し、弁護士に相談をした。
弁護士は、ともかく一日も早くBから自動車を取り戻し、オリエントに返さなければならないと考えた。Bが交通事故でも起こせばその責任がAさんにくる。Aさんは任意保険をかけた。
Aさんの弁護士は、Bを横領で警察に告訴するように指示した。
Aさんは警察に訴えたが、警察はなかなか告訴を受け付けてくれなかった。
そのため、Aの代理人の弁護士は、自動車の所有名義人であるオリエントに経緯を説明し、横領でBを告訴してほしいと頼んだ。
しかし、オリエントは告訴はしないどころか「事情を知らないオリエントに対してBなる人物を刑事告訴せよなどと要求すること自体度を越した要求である」と訴訟で主張している。
仮に、Aさんが、自らの意思で自動車を購入し、その自動車が第三者に乗り回されているが、第三者が返そうとしないので、自動車を取り戻したいと考え自動車の所有名義人に刑事告訴を依頼した場合、Aさんから、事情を聞き、自動車の取り戻しに協力するのが社会的存在として重要な地位を占める信販会社の責任ではないのだろうか。
自動車を取り戻すのは、所有者としてのオリエントの権利であると同時に、自動車を不法にとられたと主張する自動車の使用者(クレジット契約の契約名義人)が受ける損害を少しでも少なくするために必要なことである。Aさんが破産して、支払えなくなれば、損害を受けるのはオリエントである。
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オリエントは、Aさんに対して自動車の返還とクレジット代金の支払を求める訴訟を提起してきた。
オリエントの訴訟の内容は、驚いたことに次のようになっていた。
- 自動車を返還せよ。
- クレジット代金と手数料の合計、金483万1556円と平成28年12月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
- 30万8653円及びこれに対する平成28年9月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3)は、銀行からの借入金の代位弁済による金員である。
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オリエントのあきれた言い分
(1)弁護士からの通知内容を愚弄
オリエントは、Aさんが、スナックで知り合ったBなる人物から「社長にならないかと言われて断り切れずに引き受けた」とか、「Bのいうがままに銀行からお金を借りたり、クレジットカード契約をしたりした」とか「Bが乗る車がないから買えと言われて自動車を購入させられた」とか、およそ通常人では理解し難い内容の説明に終始していると主張している。
(2)詐欺と断定
Aさんは、Bなる人物と意思を通じ、自らは約定どおりの支払をする意思も能力もないのに、オリエントに対し、本件立替払契約及び本件カードローン契約に基づく債務の連帯保証依託契約の締結を申込み、それぞれ与信を受けたと認められ、Aさんの各契約の申込とその後の不払いは、オリエントに対する関係では、悪意に基づく不法行為を構成する。
Aさんは、やむなく自己破産をし、事情を詳細に説明して免責決定を受けた。
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車両の返還
Aさんは、何度も警察に行き、Bを逮捕してくれるよう訴えた。
Bが別件で逮捕された。警察の説得によって、Bは自動車を任意提出した。
Aさんは、車両をオリエントに返還した。
オリエントは、訴訟でAさんから返還を受けた車両が平成29年1月18日、「156万9341円」で売却できたと主張した。
平成28年5月26日に、「車両本体価格360万円・付属品及びオプション50万円」の合計410万円だという中古車両は、わずか7ケ月で、150万円にまで値を下げたのである。
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オリエントのあきれた言い分
オリエントは、訴訟で、Aさんが、破産し、免責決定を受けたにもかかわらず、Aさんが、「支払う意思も能力もないのに」自動車購入の申込をしたとして、不法行為(詐欺)であるから、免責は認められないと主張している。
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Aさんは、オリエントに暴力団員の介在によって行われた事件について、次のように意見を求めた。
原告(オリエント)は、被告(Aさん)が契約の経緯を説明し、原告所有の高額の自動車をなんとか暴力団員であるBから取り戻し、被害を最少にくい止めようとしていることについて、次のように主張している。
被告の言い分のみがすべて正しいものであるとの前提にたって、事情を知らない原告に対して「B」なる人物を刑事告訴せよなどと要求すること自体、度を越した要求である。
しかし、およそ詐欺・横領等の被害について、被害に遇った者が、その経緯を警察に告訴する。その場合、高額の自動車の所有名義人である原告は、原告との間で立替払契約を締結している被害に遇った者からその経緯を聴取し、適切な措置をとるのが、社会的存在である原告のとるべき措置ではなかろうか。
そもそも、Aさんとオリエントとの間の契約条項には、「反社会的勢力の排除」なる条項がある(甲1・共通条項第5条)。
オリエントは、本件契約が、反社会的勢力に属する人間の画策によって締結されたとの契約者からの申し出があれば、その事実について調査し、反社会的勢力に属する人間が立替払契約などを悪用しないようにする義務がある。
これまでの信販会社の立替払契約が悪質加盟店や反社会的勢力により悪用され、事情を知らない契約名義人が被害を受けたばかりか、信販会社が社会的批判を受けた歴史の中で、信販会社も多大の被害を受けたことは広く知られた事実である。
オリエントのこのような主張は、反社会的勢力による立替払契約等が悪用された場合に、なんらの調査もせず、その真相を明らかにしようともしないことを公言したものである。
オリエントが、Bが反社会的勢力に属する人間であるか否かについては、調査すれば容易に判明する。
因みに、オリエントの「反社会的勢力に対する基本方針」として5つの方針を公表しているが、その3は、次のようになっている。
当社は、反社会的勢力による被害を防止するために、警察・暴力追放運動推進センター・弁護士等の外部専門機関と連携し、組織的かつ適正に対応します
この方針の中には、オリエントの立替払契約が、暴力団関係者によって悪用された本件のような事例は含まれないというのが、オリエントの見解なのか明らかにすべきである。
オリエントは、Aさんのこのような主張に対して、なんら調査もせず、なんらの説明もしようとしない。オリエントの加盟店の暴力団員である営業社員が画策した事件であることになんら反省をしないのであろうか。
Aさんの代理人弁護士は、これまで多数のクレジット被害事件に関与してきた。しかし、消費者被害事件の当事者に対して、「クレジット契約に基づく支払請求」訴訟をしてきた事件は多数あるが、「クレジット契約に基づく支払請求」ではなく、「不法行為」であるとして、訴訟を提起してきた事例に遭遇したことはない。