DV被害者を装う
母性を喪失した女と未成年の子供

サイト掲載: 2013年 1月 4日

 私は、平成24年4月中旬、Aさんから、突然、妻が、子供二人(5歳と満1歳)を連れて家出をしたという相談を受けた。 警察に家出人届出をしたら、二日ほどして、「保護しているから心配ない」と連絡があった。 それから、1週間ほどして町役場から、「生活保護をうけているから安心してください」との連絡があったという。
 Aさんは、妻は、妊娠8ケ月で、子供の面倒もきちんと見ることができない。なんとか早く子供がどんな状態か知りたいということだった。
 私は、この相談をうけて、その女性が、「DVだと言っているのではないか」と考えた。
 それで、私は、Aさんに、奥さんを殴ったりしたことはないかと聞いた。Aさんは、そんなことは一度もないと言った。
 Aさんは、憔悴しきっていた。

 Aさんによると、妻の家出の理由は、その日、クレジット会社に一緒に行くことになっていたが、そこに行きたくなかったのではないかということだった。
 Aさんは、3月末から4月にかけて起こったことが、あまりにも信じられないことでどうしていいかわからないということだった。
 Aさんの話は、およそ、次のようなことだった。

  1. 2年ほど前に結婚した。妻は3歳の子供を連れてきた。結婚のとき、その子と養子縁組をした。とてもいい子で自分になついている。
  2. 家族は、Aさんの祖母、両親と、Aさんの妻、養子(5歳)、長女(1歳)の7人家族だった。
  3. 契約した覚えがないのに、クレジット会社から請求がきた!
    4月初め、妻宛にクレジット会社から電話があった。支払が滞っているので支払ってくれという内容だった。妻は、そのようなクレジット会社と契約したことすらないと言った。驚いたAさんは、中学校の恩師に相談した。恩師は、とりあえず、Aさんの妻に、クレジット会社に、「契約したことはない。なぜ、請求がするのか」という質問書を出するように指導し、手紙を出させた。
  4. 恩師は、クレジット会社から、支払が遅れているという書類がきていないというので、手紙類が転送されているのではないかと考えた。
    恩師と、Aさん夫婦は、郵便局に行き、郵便物が転送されていないかどうか聞いたら、局員は、ご本人から転送してくれという手紙が来たので、携帯電話に電話を入れて、転送してくれと言われて転送していると答えた。
    Aさんの横にいた妻は、自分は、転送してくれと手紙を出した覚えもないし、携帯電話で確認を受けたこともないと答えた。
    妻を信用していたAさんと、恩師は、郵便局員に、本人確認の仕方に問題があるのではないかと「文句」を言った。
  5. 「自動車税で預金が差押された!」
    Aさんは地元の信用金庫から、「自動車税で預金が差押されたので、預金残高200円を自治体のほうに渡すことになります」との電話連絡を受けた。
    Aさんは、年収が400万円以上あった。そのお金はすべて妻に渡していた。 両親と一緒に生活しているので、家賃もいらず、生活費も月5万円を渡せばいいことになっていた。自動車税が払えないわけがない。
    又、預金の残高が200円しかないということにも驚いた。驚いたAさんは、妻に「自動車税を払わなかったのか?」と聞いた。
    妻は「払った」と答えた。
    Aさん 「払ったら、預金が差押されるはずがないんじゃないか?」
    妻 「領収書がある」
    Aさん  「領収書を持ってこい」
    妻は2階にあがり、1時間くらいして、領収書を持って降りてきた。
    その領収書には、きちんと金融機関の領収印が押されていた。
  6. 「支払っているのに、なんで差押されるの?」
    Aさんは、差押をしてきた自治体の担当者に電話をして「自動車税を支払って、領収書があるのに、なんで差押されるのですか?」と聞いた。
    驚いた担当者は、「すぐに、領収書をFAXしてください」と言った。
    Aさんは、すぐに領収書をFAXした。
    FAXを受取った担当者は、すぐに、金融機関に連絡したらしく、金融機関の担当者がAさんの家にやってきた。そして、「領収書」を預りたいと言った。
    Aさんは、領収書を金融機関の担当者に渡した。
  7. 4月中旬、Aさんは、何かなんだかわからなくなった。 それで、ともかく、はっきりさせるために、クレジット会社に妻と一緒に行くことにしたのだった。 その日に、妻は、子供を連れて家出したのだ。

Aさんの妻は、子供二人を、きちんと面倒をみているのだろうか?

 Aさんの話によると、妻は、子供の世話もちゃんとできていないということだった。 1歳の長女のパンパースもベトベトになるまで取り替えてはいなかった。また、ミルクもきちんと飲ませてはいなかった。 泣くと、なぜ泣くのかを考えることなく、ミルクの瓶をぐっと、長女の口に突っ込んでいたという。 長男は、Aさんの家にきたとき、ひどい便秘だったが、浣腸をするでもなく、ただ、早くしなさいと怒鳴るだけだったという。 そのため、長男は、母にみつからないように柱の影に隠れて、うんと頑張っていたという。その長男の便秘も、ようやく直ったという。

児童相談所へ

 私は、Aさんの祖母にAさんの妻の養育態度等を聞き取りし、やはり、妊娠8ケ月の身で、幼い子供二人をきちんと世話することはできない、虐待のおそれもあると考えた。そして、児童相談所に、子供らの保護をしてほしいという申立てをした。しかし、児童相談所から、なんらかの調査や措置をしたという連絡はなかった。

裁判所は、書類をAさんに送達しない!

 私は、Aさんの代理人として、妻との離婚、そして、子供ら3人の親権者をAさんにする、子供ら3人を引き渡すという調停の申立てをした。

Aさんの妻の住所がわからないから、調停の申立てがあったという書類をAさんの妻には郵送できない!

 Aさんの妻の住所は、DV被害者ということで、Aさんや、Aさんの代理人である私には、教えてもらえない。
 しかし、警察や町役場には、Aさんの妻の住所はわかっている。なぜなら、Aさんの妻は、生活保護を受けていると、町役場からAさんに連絡がきたのだから。
 私は、家庭裁判所の裁判官に、Aさんの妻の住所を警察か、町役場に問合せをしてほしい、裁判所には、Aさんの住所を教えてくれると思うからと頼んだ。
 ところが、裁判官は、「裁判所はそのようなことはしません」と言った。
 そのため、Aさんは、離婚の調停の申立てをしたが、どうすることもできない状態となった。
 なんで、裁判所は、裁判所から問合せ(調査嘱託という)をすれば、Aさんの妻の住所がわかるのに、そのようなことさえしてくれないのだろうか。

妻が郵便物の転送届けを出した!

 郵便局から、Aさんの家に、Aさんの妻の転送願いがきているが、転送してもよいかとの連絡がきた。
 Aさんから連絡を受けた私は、すぐに、裁判所にAさんの妻に書類を出してもらうよう伝えた。

第一回の調停は9月中ごろ、Aさんの家から遥か離れた裁判所で行われた

 Aさんの妻は、長男を出産していた。
 予想どおり、Aさんの妻は、きちんと子供の面倒をみている、子供3人を自分で育てると主張した。

面接交渉

 Aさんは、ともかく、子供がどうなっているか心配だった。そのため、子供に会せてほしいと、Aさんの妻の代理人の弁護士に頼んだ。
 妻は、子供3人に会せてくれるということになった。
 Aさんは、遥か離れたAさんの住んでいる町に、子供らに会いに出かけた。
 Aさんの代理人になっている弁護士も妻の弁護士も同席した。
 朝10時から午後3時まで、Aさんは、5歳の長男、1歳6ケ月の長女、そして、生まれて4ケ月の次男3人と心ゆくまで遊んだ。 はじめてみる次男を抱き、長女を抱き、そして、長男と遊んだ。 3時、別れるときになって、長男が、「パパと一緒にラーメンをたべる」と泣き叫んだ。 しかし、一緒にラーメンをたべる時間はなかった。

 Aさんは、2回目の面接交渉を早くしたかったが、仕事の関係で、休みがとれなかった。

 Aさんの弁護士は、裁判所が、子供3人の親権者をAさんと認めてくれるかどうか、とても、不安だった。 生れたばかりの幼児には、母親が必要だ、1歳6ケ月の幼児にも、母親が必要だ、5歳の長男は、妻の連れ子だ、だから、親権者は、母親である妻が適切である、というような結論が出されるのではないか。
 Aさんの妻が、犯罪となるようなことを平気でやるという人間だと主張しても、それが、母親として失格だということだとは認めてくれないかもしれない。
 Aさんの年収約400万円をどこに使ったか全く明らかにしないと言っても、それだけでは、母親として失格だと認めてくれるかどうか、………。

急転直下、Aさんは、子供も3人を引き取れることに!
子供を3人とも、引き取っていただけるでしょうか?

 Aさんが、子供ら3人と会って1ケ月が経過した。二度目の面接交渉の日時を決めてほしいと連絡をした。 すると、Aさんの妻の弁護士から「3人のお子さんを引き取っていただくことはできるでしょうか?」という電話がきた。
 私は、びっくりしたが、AさんもAさんの両親や祖母も望んでいたことであるから、すぐに、3人の子供を引き取り離婚することに同意した。

「母子の別れに涙なく!」

 平成24年11月中旬の日曜日、私と、Aさん、Aさんの母、妹、叔母は、ファミリーレストランの駐車場にいた。 まもなく、Aさんの妻が、黒いRV車で子供3人を乗せてきた。
 妻の車が止まるや、5歳の長男が車から降りて、Aさんの母のところに駆け寄った。「おばあちゃん」と言って抱きつき、二人で大きな声で泣いた。
 妻は、黙って、チャイルドシートを外して1歳6ケ月の長女を抱き下ろし、私に渡した。 長女は、全く無表情で、泣きもせず、私に抱かれた。 私は、意外に思った。1歳6ケ月位の幼児は、最も顔見知りをし、母親以外の人にはなかなか抱かれないものであると思っていたからだ。 それに、その子は全く能面のように無表情だった。
 妻は、その子の名前を呼ぶでもなく、声もかけず、私に渡したのだ。
 妻は、生れて4ケ月の次男もチャイルドシートから下ろして、Aさんの妹に渡した。妻は、子供に声をかけることもなかった。
 この間、妻は、一言も発しなかった。
 私は、妻に「母子手帳と、へその緒は?」と聞くと、黙って、母子手帳とへその緒を渡してくれた。
 私と、子供3人と、Aさんの母、叔母、妹は、一緒に、ファミリーレストランに入り、Aさんと妻が荷物の引き渡しが終わるのを待った。

「ママは?」「帰ったよ!」「ふーん」

 私達は、20分もファミリーレストランにいただろうか。
 1歳6ケ月の長女と、生後4ケ月の次男は、風邪を引いていた。 「グシュン、グシュン」というような音が聞こえたので、長男に、「風邪引いているの?」と聞いたら、「うん、病院に行ったよ」と教えてくれた。
 妻は、子供らが、風邪を引いていることさえ伝えず、子供らに会うこともなく帰った。
 帰る間際になって、長男は、私に、「ママは?」と聞いた。
 私は、「帰ったよ」と答えた。
 長男は、「ふーん」と言ったきり、それ以上には何も言わなかった。

「帰ってきました!」

 Aさんは、子供3人を連れて、その日のうちに家まで帰った。
 家には、隣近所の人がきて、待っていてくれた。
 隣近所の人も、Aさんの家を突然襲った「妻と子供の家出」という悲劇を心配してくれていたのだ。
 長男は、そんな近所の人に、「帰ってきました」と元気一杯に挨拶したという。

表情豊かに走り回る長女!

 私は、どうしても、無表情だった長女が心配だった。
 子供らがAさんの家に帰って20日ほどたった日、Aさんの家に行き、お昼ご飯をご馳走になった。
 5歳の長男は、遊びに行っていた。
 1歳6ケ月の長女は、部屋中を走り回って遊んでいた。上手に幼児用のベットに上り、足をかけて降りていた。表情も豊かであった。
 この子が、20日ほど前に、無表情に、私に抱かれていた子と同じ子だとは思えなかった。
 Aさんの父親は、生後4ケ月の子供抱きあやしていた。
 長男は、Aさんと一生に寝ているという。
 1歳6ケ月の長女と、生後4ケ月の次男は、Aさんの両親が一緒に寝ているという。
 何も言葉を発しなかった長女も、問いかけるといろいろな言葉を発した。


母性を失った母親に育てられるということ!

 Aさんの妻は、フェイスブックに写真を載せていた。 派手なピンクの服をきた写真だった。 女友達と二人で、「V」サインをして、顔と顔を寄せている写真だった。
妻の頭に上には、Aさんとは違う男性の名前が書かれていた。 そして、下には、「愛してる!浮気したらしばくぞ!」と書かれていた。
Aさんの妻は、まだ、Aさんとの離婚は成立していない段階である。
子供を連れてきたときは、黒っぽい地味な服をきていた。
同じ人物とは到底思われなかった。

 自分で、好き放題の生活をし、夫の給料の使い道も全く言わず、自動車税を払っていないのに払ったと言って領収書を偽造するなどした女性が、「DV」だと称して、シェルターや警察、自治体に助けを求める。 シェルターの関係者も、警察官も、そして、自治体関係者も、その女性が話すことが事実かどうか確かめることはしない、どのような内容のDVだと言っているのか、夫には、全くわからない。
夫は、事情も聞かれないから、自分のことがどのように言われているかもわからない。
偽DV被害者が、手厚く保護されるのに、夫は、どうすることもできない。
男性(夫) による女性(妻)DV被害者が多くあることも事実であると考える。
それらの被害者が救済されねばならないことは当然である。
しかし、偽DV被害者の虚偽をきちんと見抜くということも非常に大切であると考える。

 私は、発達傷害!アスペルガー症候群!についての日弁連の研修を受けた。
幼いときの養育環境が子供の将来に大きな禍根を残すということを改めて認識した。
無表情であった1歳6ケ月の長女が、あのまま、Aさんの妻に育てられていたら……と思うと、ぞっとする。

この事件では、親権者の取り合いということになり、家庭裁判所の調査官が調査をした場合、間違いなく、Aさんが親権者として適している、Aさんの妻は、親権者としての適格性がないと判断してくれただろうか。