うれしい知らせ!
「保証協会の保証支払の残額免除の知らせ!」

サイト掲載: 2011年 1月 11日

 お正月早々、20年以上前に相談を受けた夫婦から、礼状と年始の品が送られてきた。

22年前に、お世話になりました。
昨年11月末、残債の免除の話をいたただき、残債がありながら免除していただきました。
借金、完済できませんでしたが、22年間、やれるだけの事をして許していただきました。
主人も、これで安心して死ねる(まだ、元気ですが)と申しております。

 私は、送り主の名前を見て、思い出した。
 20年以上前に、父親が代表取締役をしている会社が、銀行から1200万円を借りるとき、連帯保証人となったのだ。連帯保証人となって1年もしないとき、父親が代表取締役をしていた会社が倒産した。
 Aさんは、1200万円の連帯保証債務のほかに、父親に頼まれて、クレジット契約でも保証人になっていた。それらの債務は、600万円位あったと記憶する。 600万円位の債務は、妻の父親にお金を出してもらって整理したということだった。
 Aさんは、中学・高校に通っている子供さんが、3人いたと記憶する。

破産は、絶対に嫌!

 私は、Aさんに、破産するほかないのではないかと言った。
 しかし、Aさんは、絶対に破産は嫌だと言った。
 住宅ローンもあった。
 個人再生という債務整理の方法がない当時、破産するほかに債務の支払を免れる方法はなかった。
 しかし、Aさんが勤めている会社は、破産をすれば、「やめざるをえなくなる可能性もある」と、Aさんは考えていた。
 家を手放すのも嫌だということだった。

家計状況を報告し、支払える範囲で支払う!

 私は、保証協会と交渉し、当時の家計収支の状況から、毎月1万円しか支払えないから、毎月1万円を支払うということを認めてほしいと言った。 保証協会は、毎年家計収支の状況を報告し、毎年、毎月幾ら払えるかを決めて、支払うということを認めてくれた。 それから、数年、私は、代理人として、毎年の支払金額の交渉をしていたが、その後は、Aさん本人が、保証協会と交渉して毎月の支払額を決めることになった。子供さんが、成人して教育費が減ったのに応じて、返済額も増えたのだと思う。

 そして、22年間という長い間、支払を続けて、残債免除をしてもらったということの連絡がきたのだ。

保証協会は、保証人を付けない融資をするのが立法目的!

 保証協会付融資は、そもそも、個人保証をとらない中小企業者への融資を目的として設立された。 しかしながら、現実の融資においては、「個人保証」をとるのが通例だった。 私は、保証協会付融資の連帯保証人となった人の相談を受ける度に、このことを主張した。 しかし、裁判所は、「印鑑を押した」ということを理由として、保証責任を認めた。どんなに保証能力がないことがはっきりした事例でも、裁判所が、「保証責任がない」という判決をすることはなかった。 しかし、保証協会は、保証人の支払については、保証人が支払える範囲での支払を認めてくれていた。

 平成18年3月、経済産業省は、「信用保証協会が、手がける信用保証制度で、『連帯保証』を原則廃止する方針を決めた。 裁判所が、個々の事例で、保証能力がない人を保証人にすることの違法性、立法目的から連帯保証人をとることはできないとの主張に耳を傾け、その弊害に真正面から向き合い、連帯保証契約の無効を認めるということの中で、経産省が、このような方針を出したのではないことが残念だと思った。

 経産省が、このような方針を決めたとしても、それまでに、「連帯保証人」となっていた契約について、連帯保証責任を追及することはやめなかった。

1200万円の連帯保証債務って、どうなるの!

 22年前の約定利息が幾らか覚えていないが、遅延損害金の利率は、14%から14.5%だったことは間違いない。 1200万円の1ケ月の遅延損害金は、次のようになる。

1200万円×14%÷12ケ月= 14万円

約定利率が、5%としても、その利息は、次のようになる。

1200万円×5%÷12ケ月=5万円

Aさんは、少なくとも、5年は、毎月1万円程度しか支払えなかった。 その後、どの位の支払を継続したのかはわからないが、元金のみの支払ということでも、相当な残金があったのではないかと思われる。

 Aさん、奥さんを大事にし、成人された3人のお子さんやお子さんの家族と、楽しい生活を楽しんでください。