地方自治体が、給与差押えではなく、振込口座の差押えをする理由!

サイト掲載: 2010年 10月 12日

国税徴収法施行令第34条

 法第76条第2項第4号(給与等の差押禁止の基礎となる金額)に規定する政令で定める金額は、滞納者の給料、賃金、俸給、歳費、退職金及びこれらの性質を有する給与に係る債権の支給の基礎となった期間1月ごとに10万円(滞納者と生計を一にする配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)その他の親族があるときは、これらの者一人につき45,000円を加算した金額)とする。

 地方自治体は、給料の差押えをする場合は、この規定に基づいて、どの範囲で差押えができるかを明確にしなければならない。

 差押えをされた人は、給与の振込口座に129,962円しか残っていなかったが、86,400円が全部一度に差押えで引かれてしまった。

 給与の差押えで、86,000円を一度に引き去ることができるためには、次のようになる。
 Aさんは、高校生の子供と二人暮らしであるから、前記政令によれば、145,000円は、差押えができないことになる。
 145,000円+86,000円=235,000円
 Aさんの手取給与は、20万円に満たなかった。
 もし、給与の差押えであったならば、86,000円を一度に引き落とすことはできないことになるのではないか。

 少なくとも、自治体や国は、直接、給与の差押えをする場合は、国税徴収法で定められた政令に従わねばならないことになるが、給与振込口座の差押えの場合には、口座に残っている預金の全額を差押えでとることができることになる。

 このようなやり方は、許されるのだろうか。
このようなやり方は、政令に反するものではないのだろうか。