地方自治体は何をしてもいいの!
サイト掲載: 2010年 9月 18日
Aさんは、給料振込を、大地みらい信用金庫にしていた。
その口座には、給料しか入っていない。勿論、Aさんには、給料以外の収入はない。
その給料だけしか入っていない大地みらい信用金庫の口座が差押えされ、当時の滞納税金(固定資産税・軽自動車税)の全額が引き去られた。
本 税 61,900円 12,000円 73,900円
延滞金額 11,300円 1,200円 12,500円
合 計 73,200円 13,200円 86,400円
差押えされたとき、預金通帳には、129,962円しか残っていなかった。
86,400円が差押えで引かれたことから、残りは、わずか43,562円になってしまった。
Aさんの給料日は、毎月10日だ。差押えで引き落とされたのは、8月27日だから、まだ給料日まで、14日もある。
釧路市役所は、Aさんに、滞納税金を支払えという権利があるのだろうか?
滞納額明細書の固定資産税の滞納の明細を記載した「備考」欄には、Aさんの亡くなった父親の名前が書かれている。つまり、「B様分」と書かれている。
私とAさんの話は、次のようだった。
「Bという人は、誰なの?」
「亡くなった父親です。」
「相続登記はしたの?」
「していません」
「相続人は、誰なの? おかあさんは、健在なの?」
「はい」
「兄弟は、何人?」
「私と、妹が二人です。すぐしたの妹は、去年なくなりました。私が、亡くなった妹の高校生の娘の面倒をみています」
私は、驚いた。
亡くなったBさんの相続人は、妻と子供二人だから、相続割合は、次のようになる。
妻 2分の1
子供 2分の1の3分の1で、6分の1
従って、父親のBさんの固定資産税の滞納の内、Aさんが、支払わねばならない分は、次のようになる。
本 税 61,900円 10,317円
延滞税 11,300円 1,883円
合 計 73,200円 12,200円
つまり、Aさんには、父親であるBさんの借金の6分の1である12,200円と軽自動車税の13,200円の合計25,400円しか支払う義務がないのに、86,400円も、支払わされたこととなる。
自治体は、不動産の名義人が亡くなったとき、固定資産税を誰が支払うか、決めてほしいというように、相続人に言うが、あくまでも、それは、亡くなった人に代わって支払うというだけのことで、相続人の債務を全部相続しましたということにはならない。
釧路市役所は、固定資産税の通知の書面には、「Bの現所有者 A」と記載しているが、このような措置は、自治体が、便宜上、亡くなった人の税金を安易に支払わせるためにやっているものにしか過ぎないと考える。
即ち、それは、形の上での所有者であり、登記簿上、きちんとした相続をした上での所有者ではない。差押えまでするということになると、きちんと登記簿上も所有者となっていることが必要ではないか。
少なくとも、法律上の所有者は、亡くなったBの相続人全員が、相続をしていることとなっているはずである。
相続人は、あくまでも、相続割合に従って債務を相続するだけである。
釧路市役所の差押えは、支払義務のない人に対する違法な差押えとなるのではないか。
大地みらい信用金庫の責任
大地みらい信用金庫は、Aさんの預金口座が、Aさんの給料しか入金になっていない口座であることを知悉していた。
給料は、差押えが禁止されていることは、大地みらい信用金庫の担当者は、熟知しているはずである。
従って、釧路市役所から、給料しか入っていない口座の差押えがあった場合には、釧路市役所に対して、この口座は、給料しか入っていない口座であることを知らせなければならないのではないか。
安易な給料の差押えが、勤務先に対して行われることは、本人が仕事をする上でも「恥ずかしい」ことであるとして、給料の振り込みがなされる口座を差し押さえたのかもわからないが、法律で、差押えが、禁止されている給料を預かる金融機関は、法律上許されないことがなされることを防止する責任があると思う。
個人情報の保護とは?
釧路市役所は、どういう方法でAさんの給料の振込口座を知ったのだろうか。 Aさんは、友達の保証をしたことで、保証債務の支払をしていた。
また、急に、死んだ妹の娘を引き取らなければならなくなった。そのため、税金などの支払が遅れたのだった。
何日か前に、Aさんは、税金を払わないと給料の差押えをするという電話が、勤務先に来たということを、勤務先の上司から聞いた。
多分、このとき、釧路市役所の職員は、Aさんの給料の振込口座を聞き出したのではないか。
釧路市役所が、Aさんの給料の振込口座を聞き出すことは、個人情報を不正に取得したことにはならないのだろうか。