滞納税金と給料の差押え

サイト掲載: 2010年 8月 9日

Aさんの場合

 Aさんは、突然、会社の経理課の担当者に呼ばれた。
 そして、「差押調書(謄本)」という書類を見せられた。
 それは、実母が住んでいる家の固定資産税の滞納について、給料を差し押さえるという書類だった。

 Aさんの記憶では、滞納税金を支払うようにというような書類を受け取った記憶がないという。しかし、自治体の担当者に確認すると、間違いなく、住民票上の住所に、督促状を送ったという。

 これまで、滞納税金について、自治体の担当者が、何度も、催促して任意に支払うように依頼していたように思う。 書類によく督促だけではなく、直接、会ったり、電話をしたりして、根気よく支払うよう説得していたように思う。 これまで、預金を押さえられた等という相談が多かったが、給料を差押られたという相談はなかったように思う。 やっと生活できるだけの給料なのに、それが差押されるということになると、生活さえもできなくなる。さらには、勤務先の信用もがた落ちとなる。

 差押の内容は、滞納税額が約30万円なのに、延滞税が10万円弱ついていた。

 税金を滞納することはよくないこであることは間違いない。

 しかし、生活するだけでもやっとという安い給料の差押をされると、ますます生活ができなくなる。
 給料の差押については、4分の1だけが差押ができることとなっている。 しかし、4分の1の差押をされると生活かできないという場合は、差押の範囲の変更とか、場合によっては、差押の取り消しを求めることもできる。
 しかし、給料の差押をこのように安易にされるということは、ひどすぎると思う。せめて、電話をするなどして、支払わなければ給料を差し押さえることになりますよというようなことを伝えるべきではないか。


Bさんの場合

 Bさんは、これまで、延滞税金を毎月5000円ずつ支払っていたという。
 ところが、生活が困難になってきたことから、遅れ気味となり、2ケ月位支払えない状態が続いたという。

 そうすると、「滞納税の徴収引継予告書(最終催告書)」という書類が送られてきた。そして、「○○市町村税滞納整理機構」というところに移ると書いてあった。
 その整理機構からは、勤務先に、問いあわせの書類が送られてきた。その書類には、給料が幾らだというようなことを問いあわせる書面だった。

 Bさんは、これまでなんとか5000円ずつを支払う約束だったが、今度は、最低でも1万円以上支払うようにといわれたという。

 地方税は、一年遅れで支払うことになっている。所得税のように、その月分の支払をその月に支払うことにはなっていない。 そのため、収入が多かった年の翌年、収入が低くなると、支払わねばならない地方税は、場合によっては、収入の大半になってしまうということにもなってしまう。
勿論、収入が、多いときに、予め支払わねばならないお金を別途取り分けておけばよいわけだが、翌年、収入が少なくなることまで予測はできない。
特に、失業なとすると大変である。全く収入がなくなるにもかかわらず、前年の収入で計算した地方税を払わなければならないことになるからである。

 滞納税金の支払についても、住民の生活をぶちこわすようなことをしないようにするべきではないか。