市議会議員の役割は何か?
市の旅費規定によって請求しているから問題はない?

サイト掲載: 2008年 2月 7日

 釧路市の市議員議員の政務調査費が、本来の目的に違反して使われているのではないかということから、政務調査費を返還せよとの訴訟で提起されている。
 原告となったのは、釧路市の市民二人。
 主に、「観光旅行ではないか」と思われる「視察旅行」が問題となっている。
 一応、「旅費支出書」に記載されている費用が現実に使われていると思っていた。

1、J会派  実費の倍?

 J会派は、沖縄に会派全員5名で視察旅行をした。
 会派から、出された「旅費支出書」では、次ぎのようなお金が使われているということになっていた。

運賃  飛行機代  163,000円(釧路・羽田、羽田・那覇、那覇、石垣 往復運賃)
     バス代    2,620円
日当   12,000円
宿泊費  42,600円
一人当り  220,320円×5人=1,101,600円

 J会派は、その領収書として、次ぎのような内容の請求書と領収書を出してきた。

請求書(H社発行)2006年10月20日付
             数量   単価     金額
釧路・羽田(往復)  5名  62,400円 312,000円
羽田・那覇(往復)  5名  65,800円 329,000円
那覇・石垣(往復)  5名  34,900円 174,500円
      合計                 815,500円

領収証(H社 平成18年10月30日付)
815,500円(研修費代として)

 ところが、現実にかかった費用は、次ぎのような内容だと判明した。

 包括個人旅行契約により5名全員分で 479,000円

 つまり、俗称「パック」と呼ばれる商品が利用されていたということなのだ。
H社が、なぜ、現実の費用と違う請求書や領収書を出したのかというと、「頼まれて作成発行した」という回答であった。
この結果、現実にかかった費用は、次のようになると考えられる。

包括個人旅行契約分  479,000円
バス代  2,620円×5=13,100円
日当  12,000円×5=60,000円
合計            552,100円

横領したと思われる金額
1,101,600円−552,100円=549,500円


2、K会派  40万円も余分に請求?

 K会派は、仙台・三沢等に会派全員7名で視察旅行した。
 K会派は、旅費支出書に次ぎのように書いている。

        一人当り    数量     合計
運賃   103,410円   7名   723,870円
日当    15,000円   7名   105,000円
宿泊費   56,800円   7名   397,600円
合計   175,210円      1,226,470円

K会派は、旅行会社の請求書も領収書もないと回答している。
旅行会社に現実にかかった費用の回答を求めたところ、次ぎのようになっていた。

ご旅行代金見積書 2006年3月21日作成
総額  630,800円

横領したと思われる金額

飛行機代は約倍額となっていた。
旅費支出書 飛行機代  31,200円×2=62,400円
回答    飛行機代  32,400円
差額  3万円

宿泊費は二重取り

 宿泊費用は前記630,800円に含まれている。
 ところが、旅費支出書では、それとは別に、一人当り56,800円が請求されている。
 宿泊費の内、1日分は、各自別行動であったらしく、旅行会社の回答には含まれていない。
 なぜか、JRの運賃は、旅行会社の請求よりわずか少なくなっていた。

現実に横領したと思われる金額

旅行会社への支払額  630,800円
日当 3,000円×5日×6=90,000円
    3,000円×4日=  12,000円
1日分の宿泊費 14,200円×6名=85,200円
総合計  818,000円

旅費支出書記載額 1,226,470円から実費分818,000円を差し引いた
金408,470円 が不正に請求した分となると思われる。


感想

 実費の倍を請求したことは問題がない!

J会派は、実費ではなく「市の旅費規定で請求しているので問題がない」という談話を発表した。
 釧路市は、全国の多数の自治体と同じように「赤字自治体」であり、財政が非常に厳しいと言われている。
 道路に設置されている街灯街の補助費も出さなくなった。
 冬道で危険ということで、ロードヒーティングになっている道路が数ケ所ある。そのロードヒーティングについても、少しでも雪が降らないようになると電源を切るようにしているという。
 小中学校では、部活などで夜も活動していると、夜9時以降電気がついていたのは「なぜか」などと電気代の節約を徹底しているという。

 市議会議員は、適切な行政活動がなされているか、さらには、さらによりよい市民生活を実現するために、行政の不備を指摘し、行政の活動をチェックするのが役目だと思う。

 行政が行っている「実費の倍も請求してもよい」という旅費規定があるならば、それは、「やめるべきだ」と指摘するのが市議会議員の役目ではないのだろうか。
 しかも、政務調査費を使用するについて、実費の倍もの請求をし、「市の旅費規定に従って請求しているので問題はない」とする「意識」には、驚くほかない。
 J会派は、「現実とは異なる請求書や領収書」提出している。
 K会派は、「出納簿には領収書があると記載されているのに、請求書も領収書もないと回答している」
 訴訟ではどのような展開になるのだろうか。