2007年1月22日
騙されて、騙されて?

サイト掲載: 2007年 1月 23日

 S氏は、平成4年に結婚した。
 S氏は、給料袋は、封を開けずに妻に渡していた。
 結婚して1年位たったとき、妻から生活に必要なのでサラ金から金を借りてほしいと頼まれた。S氏は、仕方なくサラ金からお金を借りて妻に渡した。30万円だったと記憶している。
 それから、暫くして、妻は、実は、結婚前からの借金があると打ち明けられた。なんとそれは、クレジットとサラ金で総額800万円というものだった。
 あまりにも多い金額なので驚いて弁護士に相談した。

 きちんと家計簿をつけて、収入の範囲内で生活をするという「癖」がつけば破産をする方向で検討することになった。
 S氏は、妻がきちんと家計簿をつけて真面目にやっているものと思っていた。しかし、妻は、殆ど家計簿をつけず、家計のやりくりで残ったお金も弁護士のところに持って行っていなかった。途中で、弁護士は、相談を打ち切るという手紙を出していたが、妻は、S氏には見せていなかった。
 平成11年、妻は、脳梗塞で倒れた。そして、妻が、また、新しく借金をしていることが発覚した。
 S氏は、再び、弁護士のところに行った。今度は、約200万円位だった。
 そのとき、弁護士から相談を打ち切ると言われていることを知った。
 今度こそきちんとやるという約束をした。
 しかし、妻は、まるで家計簿をつけていなかった。
 そして、平成18年8月ころ、妻から、「おとうさんの名前のクレジット契約で借金をしている」「裁判所に調停というのを申し立てると、支払やすくしてもらえる。その手続きをしてほしい」と頼まれた。
 S氏は、給料の範囲で支払えるのならということで、妻の言うとおりに裁判所の書類に住所と名前を書いた。
 妻は、毎月7万円以上支払うという裁判所での約束をしてきた。
 S氏は、夏場は20万円以上の収入があった。多いときは30万円位になることもあるという。
 しかし、冬場は、仕事が極端に少なく10万円前後だという。
 10万円の収入で7万円以上支払ったら生活ができない。
 三度、S氏は、弁護士のところに行った。
 弁護士は、裁判所で決められた支払の約束を約半分、つまり、月35,000円位支払うというように変更してくれた。
 妻は、平成18年12月初め、家出した。離婚届けを置いて行った。
 妻が家出したあと、地元のヤミ金から借りていた借金が発覚した。
 妻が家出したあと、東京のサラ金会社からお金を払えという手紙がきた。

 S氏は、妻が置いていった離婚届けを出した。

 S氏は、何度、妻に騙されても、給料袋は、封を切らずに妻に渡していたという。

S氏は、弁護士に相談をする度に、給料の管理は、妻に全部任せないで、自分でするようにと言われていた。生活するために必要なお金、10万円なら10万円だけ妻に渡して残りのお金は自分で管理するようにと言われていた。

 しかし、S氏は、妻を信頼していた。
 今、S氏は、妻と結婚した当時から、自分を騙していたことを知った。
 それにしても、妻は、殆ど働いたことがなかった。 その妻に、なぜこんなにお金を貸すところがあるのかが、わからなかった。

 妻が借りていた地元のヤミ金は、「無尽風の貸金」だと言ったという。
 貸金業の登録を平成10年ころまでやっていたが、その後は無登録で年率約50パーセント程度の利率で利息をとっているという。
 S氏は、妻が残して言った利息のメモをもって警察に相談に行った。
 警察は、きちんとした契約書と領収書がなければ、違法な金融として捜査できないと言ったという。

 ヤミ金は、契約書もきちんとした領収書も出さないのだ。
 契約書も領収書も出さなければ、ヤミ金について捜査しないというのなら、ヤミ金はやり放題ということになるのではないだろうか。

 真面目で殆ど小遣いももらわず働き続けたS氏が、騙され続けて、さみしい老後を送らなければならないことに、ぶつけるところがない怒りを覚える。
 真面目に働いた人が幸せな日々を送れるそんな社会が来ることは夢の又夢ということなのだろうか。