2007年1月15日
どうして法律に違反した利息をもらえるのですか?
サイト掲載: 2007年 1月 17日
70歳に近い母親が、長女を連れて多重債務の相談にきた。最初にお金を借りたのは平成元年ころだという。
私は、利息制限法の話をした。
10万円未満は年率20パーセント
10万円以上100万円未満は年率18パーセント
100万円以上は年率15パーセント
これより高い利息をとることはできない。無効なのね。
しかし、出資法という法律があるということで、出資法の話をした。
出資法の上限金利は、次のように下がったの。
昭和58年11月より前は,最高109.5パーセント
昭和58年11月1日から年率73パーセント
昭和61年11月1日から年率54.75パーセント
平成3年11月1日から年率40.00パーセント
平成12年6月1日から29.2パーセント
利息制限法より高い金利は、幾ら約束しても、本当は払わなくてもいいの。
しかし、出資法で決められた金利より高い金利をとると処罰されるの。
場合によっては、刑務所に入らないといけないの。
だけど、利息制限法に違反していても、出資法の範囲内だと、処罰はされないの。
でも、公のところに出ると、みとめられないというところで商売やっているのが、サラ金やクレジットということなのね。
すると、相談者の娘が、「テレビで、今でもコマーシャルやっているの、あれ違法なんですか?」
「そうですね」
「なんで、違法なのに処罰されないんですか?」
「世の中には、処罰はされないけど、法律では許されない。公、裁判では認められないということが沢山あるのよね」
「えっ」
「指3本というの知ってる?」
「えっ、指3本ってなんですか?」
「昔、自民党の宇野という外務大臣が、高級クラブに行って、そこのホステスさんが特に、気に入ったらしいのね。それで、指3本、つまり、月30万円で専属になってほしい、と言ったらしいのね」
「はい、なんか聞いたことがあるような気がします」
「それで、その女性は、店をやめて、宇野さんの専属になった。つまり、2号さんになったのね。しかし、6ケ月位たったら、宇野さんが、月30万円の手当てを払ってくれなくなったらしいのね。」
「そうですか」
「この女性は、宇野さんに、月30万円払ってくれって言えると思う?」
「えっ、言えないと思う」
「どうして?」
「口約束だから」
「口約束でも、約束したことは守らなければならないというのが、日本の法律なのね。口約束で約束したということなら、この女性は、宇野さんから30万円払ってもらえると思う?」
「えっ、もらえるんですか?」
「どう思う?」
「もらえませんよね」
「どうして?」
「どうしてって、………」
「そう、もらえないのね。それは、日本の家族制度は、1夫1婦制なのよね。だから、奥さんのいる人だということがわかっているのに、その人の2号さんになるということは、日本の家族制度ということを否定することになる。公に秩序に反することだということで認められないのよね。でもね、国によってもは、今でも、奥さんを4人まで持てるという国もあるでしょう」
「ああ、聞いたことある」
「そう、だからそういう国だと2番目の奥さんも、認められることになる。そういう国だと2番目の奥さんにするということで約束したら、その約束は守らなければならないということになると思う。だから、それぞれ国によって違うわけね」
「ふーん、そうですか?」
という説明をした。
それでも、この女性は、利息制限法に違反した金利でお金を貸しているところが、あんなにテレビでコマーシャルをしているのはおかしいと思うと言った。
私もそう思う。
当たり前におかしいことをおかしいと言えることが大切だ。