函館調停国賠の顛末!
裁判所は治外法権なの?裁判所が訴えられた場合、普通の裁判のやり方は認められません?



驚 き

 私が、A男・B子夫婦と面談したときの驚きは、どう表現していいかわからないものだった。

 もともと、B子が、夫であるA男に内緒でサラ金から多額の金を借りていたが、返済ができなくなったため、どうしようかと悩んでいた。クレジット会社やサラ金から、裁判所で調停をしてもらえばいいと教えられたため、函館の簡易裁判所で調停をしてもらい、調停で決められたとおりに支払っていた。

 ところが、実兄のクレジット契約の連帯保証人となっていたが、実兄が約定返済をしないため、給料が差押えられて勤務先をやめた。というありふれた多重債務の相談だった。

 ところが、調停調書をみて驚いた。ほとんど、すべての調停に、夫であるA男が「利害関係人」として入り、妻であるB子の債務を連帯保証しているではないか。クレジット会社の事件では、B子の実妹も利害関係人としていれられていた。

 A男が、調停で利害関係人に入って連帯保証人となっていることについて、その経緯を聞いたが、はっきりしない。

 「奥さんの借金について、だんなさんが保証するのが当たり前ですものね」というような言い方をされたというのだ。

 武富士も、アコムも、プロミスも、全部、利害関係人に入っていた。

 それらの会社が、「利害関係人として夫が入らなければ、調停に応じない」と言ったのだろうか。



裁判所がいれてくれた!

 私は、武富士や、アコムや、プロミスに電話をして聞いた。

 「裁判所の調停で、利害関係人に夫が入らなければ調停に応じないと言ったの?」

 そんなことは言っていない。
 函館の裁判所では、連帯保証人を用意してくれる。

 というような信じられない答えであった。

 貸金業規制法では、支払義務のない第三者に対する請求は禁じられている。 支払義務のない第三者に対する請求が禁じられていなかったとしても、支払義務のない人に請求することは、許されるべきことではない。

 サラ金地獄が、どのような被害をもたらしたか、裁判所が知らないはずがない。

 自己破産の理由の大きな一つの理由に、「保証」による債務負担があることは、広く知られた事実である。



裁判所とは何か?

 裁判所は、国民の基本的人権を護る最後の砦である。

 裁判所が、「支払義務のない人に対して、新たに支払義務を負担させるような」そんなことをしてはいけない。



そして、無謀にも函館簡易裁判所の調停には違法があるとして釧路地方裁判所に国賠訴訟を提起した。



裁判所は、証拠があっても認めない(釧路地方裁判所)

 釧路地方裁判所における訴訟で、サラ金会社から提出だしてもらった書面を証拠として提出した。

 その証拠には、「調停において、利害関係人をいれてほしいと主張しなかった」ということが明白に記載されていた。

 しかし、裁判官は、3人の裁判官は、「調停委員は、当事者(この場合、サラ金会社)が、求めもしないのに、利害関係人をいれるはずがない」と認定し、サラ金会社が、出した書類については、「何時、誰が、どのような記憶に基づいて書いたものかわからない」との理由で、信じられないとした。



高等裁判所は、証拠調べもしない(札幌高等裁判所)

 札幌高等裁判所において、サラ金会社の代理人として、調停に出席した社員を、証人として調べてほしい旨の主張をした。

 しかし、札幌高等裁判所は、それらの証拠調べをしないとする判断をした。 そのため、それらの会社から、「調停において、利害関係人をいれてほしい」と主張したことはない旨の陳述書を証拠として提出した。

 しかし、裁判所は、それらの証拠は信じられないとした。

 実妹が利害関係人に入ったのは、A男の自動車ローンだった。調停委員は、陳述書で、「妹さんは、自分も兄さんの車を通勤に使っているし、車を引き上げられたら困るので、利害関係人に入る」と言ったと書いていた。

 しかし、この妹は、自動車の免許ももっておらず、仕事には歩いて通っていたため、自動車は不要であった。調停にも出席していない。調停委員の記憶に基づく陳述書の内容は、「まっ赤な嘘」であった。

 それでも、裁判所は、調停委員は、嘘を言わないと、認めた。



感 想

 裁判所の不法行為については、裁判所が判断するのは、公平ではない。

 私は、裁判所は、少なくとも、証拠については、きちんと調べるものと、これまで信じていた。

 この事件において、調停委員も、裁判官も証人としては調べなかった。日本において「裁判所」は、治外法権なのか。

 法の下の平等は、裁判所には無関係なのか。

 裁判所は、国民の権利を踏みにじっても、平気なのか。

 裁判官が、「自己の良心と憲法」にのみ従って、判決をするというのは、裁判所や裁判官が訴えられた以外の訴訟についてのみ、該当するということなのだろうか。

 裁判員制度が認められ、裁判に素人が入るようになれば、このような不合理はなくなるだろうか。