今こそ、最高裁判所は自浄能力を発揮し、全国の簡易裁判所における違法調停の一掃に指導的役割を!



伊予三島簡易裁判所の違法調停に関して国家賠償訴訟を提起!

 平成13年8月10日、伊予三島簡易裁判所の違法調停に関して、国家賠償訴訟を東京地方裁判所に提起した。
 伊予三島簡易裁判所の違法調停の内容については、すでに、その詳細を報告している。ただ、相続債務について、重大な事実が判明した。

 相続人は、配偶者のA子と、A子との間の娘3人の他に先妻の子供一人がいた。

 そのため、相続人は配偶者のA子が半分(2分の1)と子供が半分(2分の1)となる。子供が4人であるから、子供一人あたりの相続分は8分の1である。

 伊予三島簡易裁判所の裁判官は、相続債務について、配偶者であるA子が、遺産分割協議の結果単独相続したと記載しているが、A子は、そのような協議をしたことはないと言っている。つまり、未成年者であった子供3人には、父親が借金を残したなどのことは言わずに、自分だけで支払っていたというに過ぎない。それをわざわざ遺産分割協議の結果、単独相続したとしているのだ。しかし、そうだとすれば、平成2年に父親が死亡した後、調停申立てが行われた平成10年7月迄、約8年間、子供達は、全く請求されていないこととなる。即ち、子供達との関係では、すでに、相続債務に関する時効が成立していることとなるのである。

 しかるに、伊予三島簡易裁判所の裁判官は、相続債務の残元金69万円に、遅延損害金約101万円を合算した総額170万円について、A子の子供3人について、母親のA子と連帯して、各3分の1を支払えとの17条決定をしているのである。

 仮に、相続債務があったとしても、8分の1であるにもかかわらず、3分の1について、その責任を負わせるということは、いかなる理由だろうか。



伊予三島簡易裁判所の平成7年5月以降の調停は、全て違法な内容の調停?

 この調停の主任裁判官は、昭和63年8月、岡山簡裁判事となり、平成元年4月に中津簡裁の判事となり、平成4年3月から川島簡裁兼徳島簡裁判事となり、平成7年5月から伊予三島簡裁判事となり、現在は伊予三島簡裁から別の簡裁に転勤となっている。

 昭和11年3月21日生のこの裁判官は、現在65歳であるから、定年の70歳迄、5年間簡裁判事として執務されることとなる。

 今回国賠訴訟を提起した調停に内包している違法は、この裁判官が、担当したすべての調停に内包していると合理的に推測される。

 伊予三島簡易裁判所の裁判官は、この裁判官一人である。

 即ち、伊予三島簡易裁判所に、この裁判官が在任した当時のすべての調停に、同じような違法があるということは、間違いがないと思われる。



最高裁は、自主的に、違法な調停について調査し、その結果を公表すべきではないか?

 最高裁は、国民のための司法を標榜し、多重債務者の経済的更生を図るという高邁な目的を設定して、多重債務者調停を行っているにもかかわらず、かえって、多重債務者をさらなる多重債務に追い込むような違法な調停を行っていることが明らかとなった現在、自主的に、少なくとも、この裁判官が執務していた間の伊予三島簡易裁判所の調停事件について、すべての調査をして、その結果を明らかにすべきではないか。
 勿論、伊予三島簡易裁判所以外の、この裁判官が執務していたすべての簡易裁判所で、この裁判官が担当した調停については、すべて、調査すべきであることゆうまでもない。
 伊予三島簡易裁判所の、この裁判官だけがこのような違法な調停をしているとは思われない。同様の違法な調停が行われているか否か、最高裁判所は自ら調査し、明らかにすべきではないか。
 今、最高裁判所に自浄能力があるか否か、が問われている。



愛媛弁護士会の責任?

 伊予三島簡易裁判所において、このような違法な調停が長期間にわたって行われていたことについて、弁護士も弁護士会にも責任があるこというまでもないと思う。

 私は、地元の簡易裁判所で行われた調停によって決められた支払いができなくなったということで、相談にきた多数の多重債務者の相談にのっている。そして、その調停に問題があると思った時には、すぐに、裁判所に申入れをしている。

 例えば、ある時、失業者の息子がサラ金調停の申立てに行ったところ、裁判所の受付の書記官から、「援助者がいなければ調停の申立てを受け付けられない」と言われたという。そして、父親が、援助者となり、調停の席で、連帯保証人となってもらわなければならないと言われたという。その多重債務者と両親から相談を受けた私は、驚いた。そして、すぐに、地元の簡易裁判所の担当書記官、その上司、簡易裁判所の判事、そして、地方裁判所の次席にまで直談判に行き、その違法性を指摘した。

 もう、数年前のことだ。

 伊予三島簡易裁判所で調停を受けた結果、さらなる多重債務となり、結局、調停で決められた支払いができなくなり、自己破産に追い込まれた人は多数いると思う。そういう多重債務者から、相談を受けて、自己破産の代理人となった弁護士も多数いると思われる。

 多重債務者の債務の内容について、どれほどの事情聴取をしたのだろうか。

 債務の内容を詳細に多重債務者から聞いていたならば、伊予三島簡易裁判所でひどい内容の調停が行われていることは、とっくの昔に判明していたはずだ。

 松山地方裁判所の管轄内には、松山簡易裁判所、伊予三島簡易裁判所、八幡浜簡易裁判所、宇和島簡易裁判所、西条簡易裁判所、城辺簡易裁判所、今治簡易裁判所、新居浜簡易裁判所、大州簡易裁判所がある。伊予三島簡易裁判所だけで、このような違法な調停が行われているとは思われない。

 愛媛弁護士会は、松山地方裁判所の管轄内の簡易裁判所でどのような調停がなされているかを調査し、その内容を公表されるよう切望する。