最高裁判所・高松地方裁判所に公開質問状提出!

公 開 質 問 状

 私たちは、平成12年9月19日付で、簡易裁判所において行なわれている「債務額確定調停」「債務分割弁済調停」等において、あらたな司法被害を発生させるような異常な調停が行なわれていることを指摘し、最高裁判所の見解を求めました。
 最高裁判所より、平成12年10月13日付で、下記内容の回答をいただきました。
「尚、一般的には、破産等の事態を回避しながら債務者の経済的更生を図るため、配偶者等の利害関係人が、債務者及び利害関係人の任意の意思に基づき調停手続に参加すること自体は差し支えないものと考えられている」旨の記載があります。

 ご承知のとおり、裁判官・調停委員は、専門家であり、債権者もまた、専門家であります。一方、債務者は全くの素人であります。それら素人が、専門家に対抗するに際して、裁判官や調停委員が素人である債務者が、不利とならないように助言をするべきであり、間違っても、新たな債務負担者を創出させるようなことのないようにすべきことは当然であります。
 多重債務者が、貸金業者・クレジット業者・銀行等の債権者の常軌を逸した過剰融資によって生み出さないることは、裁判所には顕著な事実であると考えます。なぜなら、多数の自己破産事件が裁判所に継続しているからであります。従って、裁判所において、破産原因、債務増加の原因、多重債務者の状況等を調査されれば、これらの実態が、明らかとなるはずであります。特に、破産原因の中には、「保証」が原因となって多重債務に陥り破産にまで至った事例が数多くあります。さらに、昨今、商工ローン問題の最大の被害が「保証」被害であるとの指摘がなされておりますことは、貴庁においても十分ご承知のことと拝察いたします。

 ご承知のとおり、貸金業規制法では「過剰融資禁止」が、割賦販売法では、「過剰契約防止」が条文として規定されております。又、貸金業規制法では、取立規制として「支払義務のない第三者に対する請求」は刑罰をもって禁止されております。
 裁判所は、基本的人権擁護の砦として、国民の権利を擁護することにこそその存在意義があると、私は考えます。裁判所において、本来、なんの責任もない人間が新たに債務負担者にされるというようなことがあってはならないと考えます。

 ところで、高松簡易裁判所においては、調停委員が、調停の申立人である多重債務者に対して、次のような発言をされたとのことです。(事件番号 高松簡易裁判所平成12年ノ第565号から577号 但し、566号は取下げ)

1、多重債務者A氏の債務状況
 債務総額は、約800万円、内約300万円のジャックスの車輛ローンがあるため、一般債務は500万円程度。


2、
A氏は、特定調停の申立てをしたが、援助者がいないということで、不調とされたため、援助者を探した上で、一般調停の申立てをした。
 A氏は、高松簡易裁判所の書記官から、援助者がいるなら、一筆書いてもってくるよう指示されたということです。
 A氏は、知人の助言を受けて計算したところでは、利息制限法に定める制限金利により元本充当計算を行なうと、「過払い」になったり、限りなく「ゼロ」に近くなる債務もあるのではないかとの意見を述べたとのことです。


3、調停での調停委員の発言内容
「調停なので、相手方がでてこなければ、どうしようもない。債務がゼロか限りなくゼロに近くなる債権者があったとしても、そういう債権者は、100%出てこない。絶対出てきません。出て来なければ、アウトです」

「特定調停というのは、多重債務に陥って困っている人の経済的更生を図るという特定の目的のために、ということで国会を通っている。だから、裁判所は、それに基づいて利息の引き直しをすることができる。」

「債務額減額というのなら、また、別である。」

「債務額確定というのは、約定金利でやるほかない。それに将来金利18%をつけて支払うことになる。」

「援助者が払ってくれるというのならば、援助者が調停に来て、私が援助しますと言ってもらわないといけない。」

「援助者が裁判所にこれないならば、それに代るものとして一筆を書いてもらって下さい。一筆書けないなら裁判所に来てもらわないといけない。あなたの口から『援助者がいると』言われても、こちらは、ああそうですかと、言えない。それが、一般的なやり方です。」

「援助者がここへ出てきて調停委員、裁判官の前でいってもらわないといけない。」

「あなたが援助者がいると言っても、そんなあてのないことでは、裁判所は納得しません。裁判所が、少なくともからんだら、裏打ちのないことで事を進めることはできない。そんなことをしたら、裁判所が追及される」



そこで、最高裁判所及び高松地方裁判所に対し、次のように質問いたします。



1、前記のような発言が調停でされたのか否かの調査を至急され、事実関係を明らかにされたい。

2、裁判所は、多重債務者調停において、新たな債務負担者を創出することについてどのような見解をもっているのか明らかにしていただきたい。

 特に、貸金業規制法においては、「支払義務のない者に対する請求」が禁止されていますが、多重債務者調停において、支払義務がない者を利害関係人として参加させることになれば、貸金業規制法の精神は没却されることとなると考えます。

 本質問に対する回答は、本書面が貴庁に到達してから、1ケ月以内にできるだけ詳細にお願いいたします。

質問者 弁護士 70名

平成12年10月25日