介護サービスの質の確保について
1.基本的な趣旨
○ 介護保険においては、介護サービスの適正を確保するため、都
道府県による監査、国保連や市町村による苦情対応などの対策が
講じられているが、これらは、何らかの問題が生じた場合の、いわ
ば「事後的対応」が中心である
○したがって、こうした対策にあわせて、苦情などに至る事態を未
然に防止するため、介護サービスに関する利用者の不満や疑問に
きめ細かに対応し、現場で改善の途を探るような取り組みを充実
していくことが重要と考えられる。
2.考えられる取り組み(メニュー事業〉
(1)介護相談員派遣事業(仮称〉
地域で活躍している高齢者や民生委員、老人クラブ関係者等
が、介護サービス利用者のための相談などに応じるボランティア
(「介護相談員(仮称)」)として、介護施設等のサービス事業者を
訪問し、利用者の話を聞き相談にのったり、サービス担当者と意
見交換を行うなどの取り組みを進める。
(2)ケアプラン指導研修事業
市町村に置かれた、保健・医療・福祉の専門家等からなる「ケア
プラン指導研修チーム(仮称)」が、具体的なケアプラン事例の
調査や指導、ケアプラン技術向上のための支援を行う。
(3)適正契約普及事業
利用者およびサービス事業者に対し、契約の手続きや留意点に
ついて周知するとともに、契約に関する相談に応じる。
介護相談員派遣事業(仮称)
1.事業実施主体
事業は市町村が行うものとし、実施するかどうかは各市町村の判
断によるものとする。
また、市町村は、地域の実情に応じ、公益法人や社会福祉協議会、
老人クラブ等適切な団体に事業を委託できるものとする。
2.事業内容
@市町村は、介護相談員(仮称)を登録するとともに、受け入れを希
望するサービス事業者をリストアップし、調整を行う。
A介護相談員は、定期、随時に訪問し、
・介護サービスについて利用者の話を聞くとともに、。気軽な雰囲
気の中で相談にのるなど疑問や不満にきめ細かく対応する、
・サービス担当者と意見交換をする、。
・サービスに関して気づいた点や提案がある場合には事業者に
その旨を伝える、
・訪問状況を市町村や都道府県に必要に応じて報告する
などの活動を行う。
B市町村は、介護相談員の活動により得られた知見を、他のサー
ビス事業者のサービス向上にもつながるよう活用を図る。
3.国の支援
国は事業の実施に必要な経費の一部を助成するものとする。
平成12年度は、20〜30か所程度の市町村を目標にして、4月以
降順次、モデル事業として実施することを検討する、
また、この事業を側面から支援するため、介護相談員の希望者に
対する研修の実施など養成支援に取り組み、2〜3年後に1000人
程度の養成数を目指す。
ケアプラン指導研修事業
1.事業実施主体、
事業は市町村が行うものとし、実施するかどうかは各市町村の判
断によるものとする、
また、市町村は、在宅介護支援センターに事業を委託できるもの
とする。
2.事業内容
@市町村は、ケアプラン及びそれに基づく介護サービスの質的な向
上を図るため、保健・医療・福祉の専門家などからなる「ケアプラ
ン指導研修チーム(仮称)」を設置する。
Aケアプラン指導研修テームは、次のような取り組みを行う、。
ア.利用者から相談のあったケース等を中心に、具体的なケアプ
ラン事例について、ケアプラン作成・利用者意向の調整・サービ
ス提供状況などを実地調査し、必要な指導を行う。
イ.地域の介護支援専門員、在宅介護支援センター、介護サービ
ス事業者などをメンバーとするケアプラン作成事例検討会を開
催し、ケアプラン作成技術の向上や関係者の情報交換・交流を
図る。
ウ.上記の活動等を通じて、地域のケアプラン・介護サービスの評
価を行い、その向上のために必要な方策等について市町村に意
見・提言を行う。
※ケアプランは、介護保険制度によって初めて導入される仕組み
であり、利用者の立場に立った適切な内容のものが作成される
よう、定着するまでの間は特に留意する必要がある。
3.国の支援
国は、事業の実施に必要な経費の一部を助成するものとする。
適正契約普及事業
1.事業主体
事業は都道府県が行うものとし、実施するかどうかは各都道府県の
判断によるものとする。
また、都道府県は、シルバーサービス地方振興組織等に事業を委
託できるものとする。
2.事業内容
介護保険制度の下では、利用者が事業者との間で締結する契約に
基づいてサービスを利用することになることを踏まえ、契約の適正な
普及を進めるために、「適正契約相談窓口(仮称〉)を設けて、次のよ
うな事業を行う。
@ 介護サービスの提供を始めるに際して事業者が利用者保護の観
点から遵守すべき手続きについて、周知を図る。
※介護保険の指定基準において、事業者は、サービスの開始に
際し、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、サービス
の選択に資する事項を記した文書を交付して説明を行い、同
意を得なけれはならない旨規定されている。
A利用者と事業者の間で介護サービスの利用に関する契約書を作
成する場合に、利用者保護の観点から適正な内容のものとなるよ
う、留意事項やモデル的な契約書例について、周知を図る。
B利用者及び事業者の双方から、契約締結についての相談に応じ、
必要な助言を行う。
3、国の支援
国は、事業の実施に必要な経費の一部を助成するものとする。
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