ケアマネの理解のための短期入所枠拡大策の要点

昨年12月と本年3月の2回にわたり、ショートステイ枠の拡大策が出されました。今回の拡大策は適用要件が厳しいことと、現物給付でない、という問題点がありますが、突発的なショートステイの需要に対応できるという点で一応の前進と考えられます。

ケアマネの理解のために2回の拡大策をまとめてみました。

次期拡大措置と特例措置はかなり性格が異なります。次期拡大措置は今のところ訪問通所サービスも短期入所もあまり必要でない方が、次回認定時期に向かって貯金するようなものです。したがって、こういう方については、認定時期のはじめの2ヶ月間は入所や入院が7日間を超えないよう注意しておく必要があります。一方、特例措置のほうは、今、短期入所を必要としている方のための救済制度です。

短期入所枠と拡大策

要介護度
現行
(6ヶ月につき)
拡大策@
次期拡大措置
(6ヶ月につき)
拡大策A
特例措置
(6ヶ月につき)
要支援

1週間

2週間

7週間
要介護1・2

2週間

4週間

12週間
要介護3・4

3週間

6週間

13週間
要介護5

6週間

9週間

14週間


1)平成11年12月6日の医療保険福祉審議会に短期入所サービスの利用枠の拡大(その@)が諮問・答申されました。拡大措置の要件と方法は以下のとおりです。青字は、今回3月の事務連絡で付け加えられた要件です。

申請月の4ヶ月前と3ヶ月前のそれぞれの月において、入院・入所によらず、訪問通所サービスの利用実績が限度額の6割未満であれば拡大する。
かつ、
申請月の4ヶ月前と3ヶ月前のそれぞれの月において、短期入所を法定限度額を超えて利用していなければ拡大する。
かつ、
申請月の4ヶ月前と3ヶ月前のそれぞれの月において、入院・入所(短期入所含む)の日数が7日以下であれば拡大する。

4月

5月

6月

7月

8月

9月
4ヶ月前 3ヶ月前 2ヶ月前 1ヶ月前 申請月 認定更新
.
拡大の対象となる期間の限度日数に、要介護状態区分に応じて倍率を乗じる。
.
 要支援〜要介護4は2倍
 要介護5は1.5倍


2)平成12年3月16日医療保険福祉審議会に短期入所サービスの利用枠の拡大(そのA)が諮問・答申されました。拡大措置の要件と方法は以下のとおりです。

短期入所サービスの基盤整備が十分であると認められる市町村に限り
利用者が痴呆であることなどにより同居している家族の介護が困難な場合や、
同居している家族が高齢、疾病であること等を理由として十分な介護ができない場合など
短期入所サービスの利用限度を拡大しなければ在宅の継続が困難であると市町村が認める場合
.
短期入所のサービスの利用限度日数を超過した月以降の各月において、各月の訪問通所サービスの区分支給限度額の「使い残し分」の範囲内において、利用限度日数を超えて「振り替え利用」できる。

振り替え利用日数の計算法

要介護度

(a)訪問通所系区分支給限度額単位数
(b)使ってしまった単位数

(c)計算のための1日あたり単位数
利用できる日数
(a−b)/cを切り上げ
0.1未満切り捨て

要支援

6150

954

要介護1

16580

984

要介護2

19480

1032

要介護3

26750

1079

要介護4

30600

1126

要介護5

35830

1173

.
振り替え利用をおこなった月には、本来の利用日数と振り替え利用日数を合わせて1月あたり14日(2週)を限度とする。
振り替え利用分は償還払いとする。(システムの改造が間に合わないから、というのが主な理由のようで・・・)
次期拡大措置と今回の特例措置は、原則として重複利用させない。


ショートステイをなるべく多く振り分けるための要介護度別の戦略と効果(4月から)

A案

戦略(SS:ショートステイ)

6ヶ月間の最大週数

要支援
1月目に3日間SS、2ヶ月目に4日間SS、3ヶ月目から拡大策A(特例措置)を使い6150/954:7日間SS。 5週間

要介護1
1月目に7日間SS、2ヶ月目に7日間SS、3ヶ月目からは拡大策Aを使い16580/984:17→14日間SS。 10週間

要介護3
1月目に7日間SS、2ヶ月目に7日間SS、3ヶ月目からは拡大策Aを使い26750/1079:25→14日間SS。 10週間

要介護5
1月目に7日間SS、2ヶ月目に7日間SS、3ヶ月目に4週間SS、4ヶ月目からは拡大策Aを使い35830/1173:31→14日間SS。 12週間

ショートステイをなるべく多く振り分けるための要介護度別の戦略と効果(次期更新)

B案

戦略(SS:ショートステイ)

6ヶ月間の最大週数

要支援
拡大策@(次期拡大措置)を使い、1月目に2週間SS、2ヶ月目からは拡大策Aを使い6150/954:7日間SS。 7週間

要介護1
拡大策@を使い、1月目に4週間SS、2ヶ月目からは拡大策Aを使い16580/984:17→14日間SS。 14週間

要介護3
拡大策@を使い、1月目に3週間SS、2ヶ月目に3週間SS、3ヶ月目からは拡大策Aを使い26750/1079:25→14日間SS。 14週間

要介護5
拡大策@を使い、1月目に3週間SS、2ヶ月目に3週間SS、3ヶ月目に3週間SS、4ヶ月目からは拡大策Aを使い35830/1173:31→14日間SS。 15週間

A案とB案を交互に組んでいけば、次期拡大措置も併用しながら年間では最大のSSを使えます。もちろん、特例措置だけつかえばもっと多く取れますが、なにせ償還払いという問題が・・・・

HP作者注:この振り分け方法はまだ確定したものではありません。変更の可能性あり。

ちなみに、振り替え計算表超簡単版右クリックあります。おあそびで・・・

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