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ケアマネは福祉・保健・医療の混成軍です。医療出身のケアマネにとって福祉の部分がわかりにくいのと同じように、福祉側のケアマネにとって医療はわかりにくいものと思います。
ここでは、いわゆる common disease、よくある病気とケアマネジメントのかかわりについて独断で解説します。
MDS-CAPsをみれば、”正しい”解説が載っています。
*15インチのモニターで 800x600 でご覧になっている方は、表がはみ出してしまいますのでフレームの境界をドラッグしてみてください。設計ミスで申し訳ございません。
【ファイル】-【開く】でhttp://www.marimo.or.jp/~momo/medicine.html で開いて、【ファイル】-【名前をつけて保存】するとこのページを持ち歩くことができます(持ち歩く価値があるかどうかは別の問題ですが・・・)。
糖尿病 1 | 慢性腎不全 | 脳出血 | 肝硬変 | 慢性呼吸不全 |
糖尿病 2 | 慢性心不全 | くも膜下出血 | 胆石症 | 閉塞性動脈硬化症 |
高血圧症 | 狭心症 | 脳梗塞 | 胃潰瘍 | うつ状態 |
高脂血症 | 心筋梗塞 | 脳卒中後遺症 | 気管支喘息 | パーキンソン病 |
高尿酸血症 | 心房細動 | 慢性肝炎 | 肺気腫 | 脊髄小脳変性症 |
平成12年2月23日、以下の病気を追加しました。
平成12年5月7日、以下の病気を追加しました。
どんな病気? |
インスリンというホルモンの働きが不足し、血糖が必要以上に上がります。正常では食後の血糖が150mg/dlを越えることはありませんが、これが200〜300にもなります。 |
高齢者では | 高齢になって発症した合併症のない単なる糖尿病は問題にならないことが多いようです(寿命に響きません) |
重症度は | ヘモグロビンA1cという検査値が高いと重症です。7%以下は良、8%以上は悪いとされています。6%以下では合併症はほぼ起こりません。インスリンを注射しているから重症というわけではありません。 |
ケアプランは |
自覚症状はあてになりません。少なくとも月1回は内科の診察と採血検査が必要です。眼科の診察も3ヶ月〜6ヶ月に1度必要です。 インスリンの自己注射は80歳を過ぎた高齢患者さんにとっては問題です。合併症の有無や病歴をみて、内服である程度コントロールできるものなら、そうしてあげたほうが在宅への障壁は少なくなります。 |
その他 | 糖尿病を患った期間の長さと合併症の評価が重要です。合併症があれば次へ進んでください。 |
どんな病気? |
合併症は、多い順に1.動脈硬化(脳梗塞・心筋梗塞) 2..神経障害(足の感覚障害) 3.腎臓障害(蛋白尿から腎不全へ) 4.網膜症(眼底出血から失明へ)などがあります。 |
高齢者では | 治療歴が長く、合併症のある高齢者は治療に難渋します。介護保険よりもむしろ医療保険の対象であることが多く、注意を要します。 |
重症度は | ヘモグロビンA1cの値にかかわらず、合併症の重症度に左右されます。 |
ケアプランは | 合併症もピンからキリまであります。認定審査会の意見を聞いたほうがよい(はず)です。もし何も指示がなければ主治医に問い合わせる必要があります。受診すべき科および回数はケースバイケースです。 |
その他 | 糖尿病の診断がついていても合併症が問題となる患者はそれほど多くないはずです。 |
どんな病気? |
長期間にわたり血圧が必要以上にあがるため、血管に動脈硬化を生じ、脳出血・脳梗塞・腎機能障害などをきたします。 |
高齢者では | 高齢者は動脈硬化のため収縮期血圧(上)が高いことが多く、拡張期血圧(下)の高さで判断したほうがよいようです。(これには異論もありますが) |
重症度は | 収縮期血圧/拡張期血圧のいずれかがが140/90以上が高血圧。拡張期血圧が110を超えていると重症です。 |
ケアプランは | 内服をきちんとしている患者さんはあまり手間がかかりません。最近の降圧薬は効いている時間が長いので1回のみ忘れても大事にはなりません。定期的な診察以外はケアプランに影響することはありません。 |
その他 | 最近高血圧の診断基準が変わりつつあります。しかし、基準が変わっても患者さんの病気が変わるわけではありません。 |
どんな病気? |
長期間にわたり悪玉コレステロールが必要以上にあがるため、血管に動脈硬化を生じ、脳梗塞・心筋梗塞などをきたします。 |
高齢者では | 軽症の高血圧も同様ですが、高脂血症は動脈硬化を遅らせるために治療するという意味合いが強く、高齢者の場合、治療して効果があがるのかどうか疑問もあります。 |
重症度は | 食事に気をつけてもなお、LDLコレステロール(悪玉)が150mg/dl以上、HDLコレステロール(善玉)が40以下であれば内服治療を行います。 |
ケアプランは | ケアプランに影響することはまずありません。 |
その他 | 合併症としての脳梗塞・心筋梗塞などが問題です。 |
どんな病気? |
長期間にわたり血中尿酸値が必要以上にあがるため、腎臓障害を起こします。足の親指の付け根の激しい痛み発作(痛風発作)も有名です。 |
高齢者では | 高齢者は腎臓の働きが落ちていることが多く、そのため尿酸値が高くなることがあります。これはいわゆる痛風とは違うものです。 |
重症度は | お年寄りでも尿酸値が8を超えていれば治療を考える必要があります。 |
ケアプランは | ケアプランに影響することはまずありません。 |
その他 | 長期間続いたための合併症としての腎臓障害が問題です。ただしもともと腎臓が悪いために起こる高尿酸血症は別です。 |
どんな病気? |
慢性腎炎や糖尿病などの原因により、腎臓の働きが落ちて体内の老廃物を外に出すことがうまく行かない状態です。 |
高齢者では | 高齢者は皆さん軽い腎機能障害があります。これは病気とは考えません。 |
重症度は | クレアチニンという検査の値が2を超えると問題です。3以上では生活制限が厳しくなります。 |
ケアプランは | 食事、特に塩分とタンパク質を減らさないといけません。一人暮しの場合は食事制限は無理と考えるべきです。 |
その他 | クレアチニンが3を超えると透析(人工腎臓)のことを考えておかねばならなくなります。家族がしっかりしていない場合は施設入所も考えましょう。 |
どんな病気? |
心筋梗塞・心臓弁膜症・高血圧症などの原因により心臓の働きが落ちて、体に必要な血液を送り出すことがうまく行かない状態です。うっ血性心不全という言葉も似たような意味で使います。 |
高齢者では | 若い人に比べ頻度は明らかに高くなります。ただ、寝たきりなどで活動性が落ちると症状が表に出にくくなります。 |
重症度は | レントゲン写真で心臓の大きさを測るのが簡便です。胸の幅の半分以上は病的です。むくみ自体はほかの原因でも起こるので当てになりません。 |
ケアプランは | 心不全の重症度により、リハビリの可否と程度が決まります。主治医に相談する必要があります。 |
その他 | 塩分を減らさないといけません。お年寄りは味覚が鈍くなっていますので薄味はなかなかなじんでくれません。 |
どんな病気? |
心臓を養う血管が動脈硬化のために狭くなり、必要な血液が流れなくなるために痛みが起こります(労作狭心症)。血管が急にちぢむために痛みが起こることもあります(安静狭心症)。 |
高齢者では | いたみを感じにくくなることがあり、診断がつきにくい場合があります。 |
重症度は | 血管の細くなっている場所によります。また最近になって痛みがだんだん増えてきている場合、心筋梗塞を起こす危険があります(不安定狭心症) |
ケアプランは | 安定か不安定かにより、リハビリの可否と程度が決まります。主治医に相談する必要があります。 |
その他 | お薬でコントロールされている患者さんもバイパス手術を受けた患者さんも、お薬をきちんと飲んでいただかないといけません。 |
どんな病気? |
心臓を養う血管が動脈硬化のために狭くなり、詰まってしまうために心臓の筋肉が死んでしまいます。死んだ範囲が広いと心不全を起こします。また危険な不整脈を起こすことがあります。ケアプランで問題になるのは陳旧性心筋梗塞(以前心筋梗塞を起こしたことをさします)の扱いです |
高齢者では | いたみを感じにくくなることがあり、診断がつきにくい場合があります。 |
重症度は | 陳旧性心筋梗塞でも、心不全を起こすようだと重症です。 |
ケアプランは | リハビリの可否と程度は主治医に相談する必要があります。 |
その他 |
どんな病気? |
不整脈のうちで、高齢者に最も多いタイプです。脈は完全にばらばらに打ちます。心臓に負担がかかる場合におきやすいのですが、高齢者でははっきりとした原因なしにおきることもあります。 |
高齢者では | 年齢とともに比率が高くなります。脳卒中の危険が高くなります。 |
重症度は | 脈がばらばらなりに落ちついている場合はよいのですが、早くなったり遅くなったりする場合は要注意です。 |
ケアプランは | ケアプランに影響することはまずありません。 |
その他 | 脳卒中(脳塞栓といって大きな血管が詰まることがおおい)のリスクが高くなりますので予防的に血を固まりにくくします。 |
どんな病気? |
主に動脈硬化を原因として脳の中の血管が破れ、脳の働きが障害されます。片麻痺(片側の手足のマヒ)・失語症(言葉が出なくなったり言葉の意味がわからなくなったりすること)などが代表的な症状です。 |
高齢者では | 高血圧と関係が深いため超高齢者よりは比較的若い年代に起こりやすいようです。 |
重症度は | 手足のマヒ、失語症など脳のやられた部位により変わっていきます。 |
ケアプランは | 手足のマヒや言葉の障害などに対するリハビリテーションが必要です(脳卒中後遺症へ) |
その他 | ケアマネにとって急性期の患者が対象になることはまずないと思われます。 |
どんな病気? |
主に脳動脈瘤(脳の血管にできたこぶ)を原因として脳の外側の血管が破れます。命にかかわることも多いのですが手足のマヒを残すことは少ないです。 |
高齢者では | 中年以降に起こります。高齢者でクリッピング(こぶがまた破れないようにする手術)ができない場合は血圧が高くならないよう注意しないとなりません。 |
重症度は | 急性期を過ぎたものは重症度はあまり関係なくなります。 |
ケアプランは | 手足のマヒや言葉の障害などに対するリハビリテーションが必要です(脳卒中後遺症へ)。血圧管理のための服薬も重要です。 |
その他 | ケアマネにとって急性期の患者が対象になることはまずないと思われます。 |
どんな病気? |
主に動脈硬化を原因として脳の中の血管が詰まり、脳の働きが障害されます。片麻痺(片側の手足のマヒ)・失語症(言葉が出なくなったり言葉の意味がわからなくなったりすること)などが代表的な症状です。 |
高齢者では | 年齢に比例して多くなっていきます。 |
重症度は | 手足のマヒ、失語症など脳のやられた部位により変わっていきます。 |
ケアプランは | 手足のマヒや言葉の障害などに対するリハビリテーションが必要です(脳卒中後遺症へ)。再発予防のための服薬も重要です。 |
その他 | ケアマネにとって急性期の患者が対象になることはまずないと思われます。 |
どんな病気? |
脳出血・脳梗塞などの脳血管障害で、急性期を過ぎ症状が固定した状態を指します。リハビリしてもこれ以上の機能の改善は望み薄というニュアンスを感じる言葉です。 |
高齢者では | |
重症度は | 手足のマヒについていえば、まったくの寝たきりから一見ほとんど正常までいろいろです。しかし脳卒中の程度のみでADLが決まっているわけではなく、初期のリハビリ環境の善し悪しにも影響を強く受けます。 |
ケアプランは |
施設リハビリや通所リハビリのみがリハビリではないと考えます。社会性を維持するために外に出たり近所の人と交わる機会を作りたいものです。 機能回復の面からはリハビリの効果は出にくくなる時期ですので、むしろ現在の機能を維持することに主眼を置いたほうがよいと思います。 |
その他 | 通所リハビリについては需要が集中する可能性があります。(ケアプランに組み込みやすいので) |
どんな病気? |
おもにB型、C型肝炎ウィルスなどにより慢性の肝臓機能障害を起こします。進行すると肝硬変になります。 |
高齢者では | 肝炎の進行はゆっくりしており何十年単位ですので、慢性肝炎で落ち着いた状態であれば寿命に響くことは少ないと考えられます。 |
重症度は | 肝臓がどれだけやられつつあるかはGOT(AST),GPT(ALT)の数値で推定できます。すでにどれだけやられているかはZTT,TTT、ガンマグロブリン、超音波検査などで推定できます。 |
ケアプランは | 慢性肝炎自体ではケアプランに影響することはまずないと思います。 |
その他 | 他人への感染は血液に触らない限りまずありません。 |
どんな病気? |
おもにB型、C型肝炎ウィルス・アルコールなどの慢性の肝臓障害が進行すると肝硬変になります。食道静脈瘤や肝癌が死因になります。 |
高齢者では | 肝硬変による意識障害はまれに痴呆と鑑別する必要があります。 |
重症度は | おなかに水がたまったり、意識障害が出たりする場合は非代償期といって重症です。 |
ケアプランは | 非代償期の肝硬変は医療保険の対象です。代償期については定期的な医師の診察が必須です。 |
その他 | ウィルスの他人への感染は血液に触らない限りまずありません。 |
どんな病気? |
胆嚢の中に結石ができます。通常は症状はないのですが胆嚢炎をおこすと熱や腹痛が出ます。総胆管結石は結石がある場所が違うのですが、しばしば混同されることがあります。 |
高齢者では | あまり高齢ですと手術をせずに経過を見ていることがあります。ガンの合併に注意すること、また胆嚢炎を起こしたときに重症化することがあります。 |
重症度は | 胆嚢炎を起こさない限りは重症度は関係ありません。 |
ケアプランは | ケアプランに影響することはまずありません。 |
その他 |
どんな病気? |
ピロリ菌という悪玉菌により、胃の粘膜に穴があきます。食後の腹痛や食欲不振がおこります。ひざや腰の痛み止めの薬(NSAIDといいます)が原因となることもあります。 |
高齢者では | NSAIDが原因で起こることが多いようです。胃潰瘍の症状が出ずにいきなり血を吐いたりすることがあります。 |
重症度は | 重症度は関係ありません。吐血や下血、強い貧血は入院の対象です。 |
ケアプランは | ケアプランに影響することはまずありません。 |
その他 | ピロリ菌がいて潰瘍を繰り返すようであれば菌を殺します。 |
どんな病気? |
主にアレルギーによる気管支の慢性の炎症のため、呼吸困難が発作的に起こります。 |
高齢者では | アレルギーの関与がはっきりしないタイプが多いようです。 |
重症度は | 呼吸困難の発作回数によります。発作が毎日起きているようなら重症です。また発作時に会話ができなくなるようなケースは中等症以上です。 |
ケアプランは | 発作が起こらない状態がうまく治療されている状態です。発作を起こしていないときはけろっとしていても、もし発作を繰り返しているようなら治療を再考する必要がありますので受診をすすめましょう。 |
その他 | 気管支喘息は発作時の対応を誤ると死亡します。 |
どんな病気? |
主に喫煙により肺の組織(肺胞)がこわれ、うまく酸素を取り入れることができなくなります。動いたときの息切れが症状です。 |
高齢者では | 長い間煙草を吸っている男性の高齢者には結構多いものです。 |
重症度は | 安静にしていても息が苦しいようなら重症です。HOT(在宅酸素療法)が必要になります。 |
ケアプランは | 普段落ち着いている方でも、風邪を引いたときに悪化しやすく、入院が必要になることがあります。定期的な診察も必要です。 |
その他 | 禁煙が必須です。 |
どんな病気? |
何らかの原因により呼吸が障害されたために、生体が正常に働くことができなくなった状態を指します。酸素が足りない状態だけでなく二酸化炭素が増えすぎた状態も含めます。原因は肺の病気だけでなく、心臓病や脳神経の病気で呼吸できなくなる場合もあります。 |
高齢者では | 肺気腫・肺結核・肺ガンなど高齢者に多い病気が慢性呼吸不全の主な原因です。 |
重症度は |
安静にしていても息が苦しいようなら重症です。HOT(在宅酸素療法)が必要になります。 HOTは安静時の血液酸素分圧が60Torr以下(SaO2 90%以下)が対象ですが、実際は患者さんのQOLを考えて、もうすこししよい値(70torr)でもHOTの対象になっています。酸素が多すぎるとCO2ナルコーシスを起こしますし、少なすぎると効果がないので、血液ガスをみながら0.5−5リットル/分の間で流量を調節します。 |
ケアプランは | 原因が何かによりますが定期的な診察が必要です。医師の指示を受けましょう。 |
その他 | 普段落ち着いている方でも、風邪を引いたときに悪化しやすく、入院が必要になることがあります。 |
どんな病気? |
全身の動脈硬化症のうち、特に下肢の血管の硬化のため、血管が細くなり必要な血液を送れなくなった状態を指します。冷感・動いたときの痛みから、安静時の痛み、足の壊死まで進みます。 |
高齢者では | 高齢者に多い病気です。痴呆のため症状を訴えない場合があります。その場合はていねいに足を観察しておかねばなりません。 |
重症度は | はじめは長い距離を歩けなくなります(間欠性跛行)。重症になるとじっとしていても痛みが出ます。 |
ケアプランは | 軽症の場合はのみぐすりで、重症になるとバイパス手術が必要になります。定期的な診察が必要です。 |
その他 | 足の温度と色は冬の間は環境の気温に左右されます。普段から触っておいたほうがよいです。 |
どんな病気? |
うつ病は気分病のひとつです。夜間の不眠、あちこちの不定症状(だるい、食欲が無い、めまいがするなど)が出てきます。 |
高齢者では | 高齢者の一割はうつ状態にあるといわれています。痴呆と違い、治療でよくなる病気です。 |
重症度は | 社会性の低下や食欲不振などがひどくなると重症です。 |
ケアプランは | 神経精神科や心療内科が専門です。治る病気ですので、きちんと診察を受けてもらいましょう。 |
その他 | H11年5月にSSRIという副作用の少ない治療薬が発売されました。そのため内科医もうつ状態の治療を試みることが多くなってきています。 |
どんな病気? |
黒質という部分の細胞が死んでいくために、神経の命令を伝える物質の内「ド−パミン」と言う物質が減少する病気です。このため手足が振るえたり、身体の動きが悪くなったり、転び易くなったりします。 |
高齢者では | 40歳以前に発症する若年型を除けば、初発時の年齢による症状の差はありません。しかし、薬を飲んでいても徐々に進行していく病気なので、年齢を経るに連れ重症度が増すのは避けられません。また、転倒しやすいため頭部外傷などには十分注意が必要です。 |
重症度は | 広く使われているのはホ−エン・ヤ−ル(HY)の重症度分類です。I度は身体の片方だけに振るえや、固さの出る軽症例。II度は両側に症状が出現し、日常生活に多少の障害が生じます。III度は動作に明かな不安定さや、動きにくさが現れ、日常生活動作で出来ないことも出てきます。IV度は日常生活動作が著しく障害され、自立が困難となります。V度は完全な寝たきり状態に近い状態で、全介助となります。 |
ケアプランは | 介護保険の認定基準を踏まえると、上記のHYのI度とII度の大半に関しては自立の認定を受けると思われます。ただ、治療によってII度とIII度は移り変わることがしばしばです。しかもこの段階では時間が掛かるだけで、根本的にできないことはあまり有りません。しかし、ついつい動こうとはしないため、積極的なリハビリへの参加や、他人との接触で意気を高めることが一番重要と考えます。IV度とV度も治療により移り変わりが多いのですが、この両者に関しては日常生活あらゆる項目に介助が必要です。 |
その他 |
どんな病気? |
他の病気に伴って、神経の命令を伝える物質の内「ド−パミン」と言う物質を運ぶ神経の働きが悪くなる病気です。このため手足が振るえたり、身体の動きが悪くなったり、転び易くなったりします。 |
高齢者では | 薬を飲んでいても徐々に進行していく病気なので、年齢を経るに連れ重症度が増すのは避けられません。また、転倒しやすいため頭部外傷などには十分注意が必要です。更にパ−キンソン病に比べて薬が効き難い傾向があります。 |
重症度は | 身体の片方だけ症状が出る軽症例から、両側に症状が出現し、最終的には完全な寝たきり状態となります。元の病気の重症度も加わり、パ−キンソン病よりも重症度は高いのが普通です。 |
ケアプランは | 軽症例ではケアプランにのることはありませんが、認定度の低い症例は積極的なリハビリへの参加や、他人との接触で意気を高めることが一番重要と考えます。重症例に関してはコミュニケ−ションを重視し、寝たきり老人の合併症を防ぐプランが必要です。元の病気のケアも含めたプランの作成が必要となります。 |
その他 |
どんな病気? |
人間のバランスをコントロ−ルする部分の神経細胞が死んでいくため、平衡感覚が悪くなったり、細かな作業が出来にくくなり、スム−ズな行動が取れなくなる病気です。 |
高齢者では | 病気が段々悪くなるため、高齢者ほど重症な状態です。転倒しやすいため頭部外傷などには十分注意が必要です。 |
重症度は | 力はあるけど、物事がうまく出来ないため、発症当初より日常生活面では支障が大きく出ます。車椅子での生活も必要になってきます。最終的には寝たきりになります。 |
ケアプランは | 比較的早期より日常生活介護が大量に必要となります。移動に支えが必要なため、家屋の改造も必要です。 |
その他 | 脱力はないので麻痺があるという評価が困難ですが、訪問調査の麻痺の定義からすれば、とにかく出来ないということを強調して欲しいものです。 |
どんな病気? |
肺線維症と間質性肺炎はほぼ同じ意味で使われます。結核や放射線、薬物などによるものと原因不明のものがあります。症状は空咳や動いたときの息切れです。進行すると呼吸不全になります。 |
高齢者では | 女性では中年以降、男性では60代以降に多くなります。タバコも関係があります。 |
重症度は | 慢性型では10年以上の経過をとって悪くなっていきます。症状が出てからは数年の経過です。かぜをこじらせて死亡したり、肺がんができたりします。在宅酸素療法が必要になることも多いです。 |
ケアプランは | 禁煙は必須です。風邪を引いたときの早めの受診も欠かせません。 |
その他 | 特発性間質性肺炎は厚生省特定疾患に指定されています。難治性で進行性の病気です。 |
どんな病気? |
メニエール病は,疑い例も含めると内耳性めまいのなかで最も多く,日常診療のなかで比較的よくみられる疾患です。
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高齢者では | 中年以降に多くなります。 |
重症度は | 軽い場合はお薬や点滴でよくなります。重症(めまい発作が頻発する,めまいによって社会生活に大きな支障を受ける,めまいの再発に対する精神的不安が強い,)といった場合は手術法として,a.内リンパ嚢開放術,b.前庭神経切断術,c.アミノ配糖体の中耳あるいは内耳腔への投与,などがあります。 |
ケアプランは | 症状の変動が特徴なので、調子がよいときとわるいときの差が大きいです。経過をよく聞く必要があります。 |
その他 | 性格的な特徴として,神経質,几帳面といったことがあり,過労,ストレス,睡眠不足が誘因となってめまいを反復する場合も少なくありません。めまい発作の予防には,お薬だけでは効果が少ないので,日常生活でこういったことをさける注意が必要です。 |
どんな病気? |
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どんな病気?つづき |
しばしばうつ状態,自発性の低下がみられます。表情,態度への感情表出が乏しくなります。 妄想の頻度は比較的高く,もの盗られ妄想,嫉妬妄想がみられます。 夕暮れ症候群と呼ばれる症候群は,夕方から夜にかけて行動面での変化がみられ,不眠,徘徊,叫ぶなどがみられます。 初期から中期にかけて失語,失行,失認がみられることがあります。失語では,健忘失語,感覚失語,全失語がみられ,失行では,構成失行,着衣失行を,失認では,視空間失認がみられます。 痴呆の簡便な診査スケールとして,わが国には改訂長谷川式簡易知能評価スケールがあり,短時間に検査が可能です。mini‐mental state examination(MMS)はアメリカで開発されたものですが、よく用いられています。 MRI,CT,SPECTを用いることにより,脳血管性痴呆の確定診断が可能になり,アルツハイマー病との鑑別に役立ちます。 |
重症度は | 末期になると筋緊張の亢進がみられ,四肢の運動は拙劣で歩行が緩徐,小刻みになり,次第に活動性が低下します.歩行が困難となり,失禁し,寝たきりとなります。高次の精神機能がほぼ完全に失われた状態は,失外套症候群あるいは,無言無動状態といわれます。 |
ケアプランは |
痴呆は知能の著しい低下であり,記憶力障害,見当識障害,一般知識の低下,計算力の低下,判断力・理解力低下としてあらわれます。 日常生活能力の障害(着脱衣行為,食事摂取行為,排便・排尿行為,入浴行為,歩行などの障害),異常言動および随伴精神症状(徘徊,独語,叫声,昼夜の区別不能,不潔行為,不眠,興奮,せん妄,幻覚,妄想,人格変化など)を伴います。 これらの特徴をもつ痴呆性老人をケアしていくにあたっては,知能の低下や日常生活能力の低下に対しては介護が必要となり、随伴精神症状や異常言動に対しては精神科治療や看護が求められます。 |
その他 | 日本で開発された選択的なアセチルコリンエステラーゼ阻害作用を有する塩酸ドネペジール(アリセプト)は,軽症から中等症のアルツハイマー型痴呆の認知機能などに改善効果があるようです。 |