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介護保険にかかわる部分(低所得者対策・家族支援・障害者福祉との関係)を抜粋したものです。
目次
全国厚生関係部局長会議資料(老人保健福祉局)
介護保険制度施行について
(1)低所得者利用者負担対策等について
ア 低所得者利用者負担対策
イ 家族介護支援対策
(2)介護保険に関する今後の広報について
全国厚生関係部局長会議資料 (障害保健福祉部)
介護保険法施行に伴う障害者施策の対応について
1.居宅介護等事業
2.短期入所(ショートステイ)事業
3.日帰り介護(デイサービス)事業
4.日常生活用具給付等事業
介護保険で貸与される福祉用具と補装具給付の適用関係
障害者施策と介護保険の調整について
全国厚生関係部局長会議資料(老人保健福祉局)
(1)低所得者利用者負担対策等について
ア 低所得者利用者負担対策
低所得者の利用者負担については、介護保険制度において、高額介護サービス費等について特例を設けているほか、法施行時に特別養護老人ホームに入所している高齢者に対する特例措置が講じられている。
これらに加え、平成12年度予算(案)において、介護保険制度とは別に、低所得者の利用者負担に対する軽減措置を行うこととしている。具体的には、
(ア) 現にホームヘルプサービスを利用している高齢者の多くが低所得者である実情を踏まえ、介護保険制度の導入に伴う負担の激変緩和の観点から、低所得世帯(生計中心者が所得税非課税又は生活保護受給世帯)であって法施行時にホームヘルプサービスを利用していた高齢者について、ホームヘルプサービスに係る利用者負担を当面3年間は3%とし、その後段階的に引き上げ、平成17年度から10%とするとともに、
(イ) 低所得世帯であって、障害者施策によるホームヘルプサービスを利用していた者等について、平成16年度までの間(若年障害者の取扱いに関する結論が得られるまでの間)、ホームヘルプサービスに係る利用者負担を3%とする。
また、
(ウ) 低所得者で特に生計が困難である者(※1)に対して、介護保険サービスの提供を行う社会福祉法人等(※2)から利用者負担減免(※3)の申出があった場合に、その負担した額が総収入の一定割合を超えた社会福祉法人等に対して市町村が所要の支援(※4)を行ったときに、国及び都道府県による補助の対象とする。
この制度の趣旨は、低所得者のうちでも極めて厳しい状況にある者について、社会的な役割のある社会福祉法人等による負担を基本として、利用者負担の減免を行おうとするものである。したがって、市町村による所要の支援は、社会福祉法人等の運営費の赤字補填など経営助成の観点からのものではないことに十分御留意いただきたい。
また、都道府県におかれては、管下社会福祉法人に対して利用者負担減免の取扱いの実施について、市町村に対して所要の支援措置の実施について、それぞれ働きかけを行うとともに、できる限り共通した方針の下で運用が行われ、効果的に制度の活用が図られるよう、全体的観点からの調整をお願いする。
※1 高額介護サービス費の上限額が最も低い所得区分に属する高齢者等(市町村民税世帯非課税者である老齢福祉年金受給者、利用者負担が減免されなければ生活保護となってしまう者等)を対象とする予定。
※2 市町村内に介護保険サービスを提供する社会福祉法人が存在していないような地域においては、例外的に当該市町村の判断により、社会福祉事業を直接経営する市町村をはじめ他の事業主体においても利用者負担の減免を行い得るものとする予定。
※3 減免の程度は、利用者負担の1/2軽減から免除までとする予定。
※4 社会福祉法人等が利用者負担を減免した総額のうち、当該法人の総収入に対する一定割合(0.1%を予定)を超えた部分を助成の対象とし、助成率は当該法人の収支状況等を踏まえて、1/2を基本としてそれ以下の範囲で個別に定めることとする予定。
(エ) 生活福祉資金貸付制度の貸付対象に介護保険の一部負担等に要する経費を加えるとともに、貸付限度額の特別基準の引き上げを図る。
などの対策を講じることとしている。
イ 家族介護支援対策
介護保険制度は、基本的に在宅サービスを中心に提供することにより、高齢者を介護している家族を支援するものであり、介護保険サービスを受けていただくことが基本となる。しかし、しばらくの間は離島・へき地や中山間地など介護保険サービスが不十分な地域もあり、また、自分たちの手で介護したいという家族も存在すると考えられる。こうした家族にどのような支援を行えばよいかについては、さらに十分議論を重ねる必要があるが、その結論が出るまでの間、市町村が、介護保険法とは別に、自らの選択により支援事業(家族介護支援特別事業:メニュー事業)を行った場合に国としても助成することとしており、平成12年度予算(案)において、次の事業を実施することとしている。
(ア) 家族介護教室
高齢者を介護している家族や近隣の援助者等に対し、介護方法や介護予防、介護者の健康づくり等についての知識・技術を習得させるための教室を開催する事業(在宅介護支援センター等に委託可)。
(イ) 家族介護用品の支給
重度(要介護度4・5に相当)で市町村民税非課税世帯の在宅高齢者を介護している家族に対して、介護用品(紙おむつ、尿取りパット、使い捨て手袋、清拭剤、ドライシャンプーなど)を支給する事業。具体的な支給方法は市町村の判断によるものであり、地域の実情に応じて紙おむつ等の引き換えのためのクーポン券で支給することも可。
(ウ) 家族介護者交流事業(元気回復事業)
高齢者を介護している家族に対して、介護から一時的に解放し、介護者相互の交流会に参加するなど心身の元気回復(リフレッシュ)を図る事業。
(エ) 家族介護者ヘルパー受講支援事業
家族介護の経験を活かしてホームヘルパーとして社会で活躍することを支援するため、高齢者を介護しているか又は介護していた家族がホームヘルパー研修(2級・3級課程)を受講した場合に、受講料の一部を助成する事業。
(オ) 徘徊高齢者家族支援サービス事業
徘徊の見られる痴呆性の高齢者を介護している家族に対し、痴呆性高齢者が徘徊した場合に、早期に発見できる仕組み(システム)を活用してその居場所を家族等に伝え、事故の防止を図るなど家族が安心して介護できる環境を整備する事業。
(カ) 家族介護慰労事業(平成13年度から実施(支給)する事業)
重度(要介護度4・5に相当)で市町村民税非課税世帯の在宅高齢者が過去1年間介護保険のサービス(年間1週間程度のショートステイの利用を除く)を受けなかった場合に、その者を介護している家族への慰労として金品(年額10万円まで)を贈呈した場合に、これに要する経費を助成する事業
平成12年4月を目前に控え、国においては、介護保険法を円滑に実施するための特別対策の内容も盛り込んだ一般国民向け広報を幅広くかつ集中的に実施することとしている。
各市区町村においても、介護保険制度に対する住民の理解が得られるよう、引き続き積極的な広報活動を実施して頂きたい。また、各都道府県でも市区町村への指導とともに、十分な広報を実施されるようお願いする。(参考資料1参照。)
全国厚生関係部局長会議資料 障害保健福祉部
介護保険法案採決の際の附帯決議を踏まえ、介護保険サービスと遜色のないものとなるよう施策の充実を図るとともに、障害者施策から介護保険への円滑な移行を図る。
1.居宅介護等事業
(1) 訪問介護(ホームヘルプサービス)事業
全身性障害者、視覚障害者及び聴覚障害者等については、社会生活の継続性を確保する観点から、介護保険に移行しても、サービスの低下をきたさないよう、必要量を確保する。
(2) 訪問介護員養成研修事業
障害児・者に対する訪問介護員(ホームヘルパー)の人材確保を図るため、養成研修事業を実施する。
2.短期入所(ショートステイ)事業
身体障害者が介護保険の指定を受けた短期入所(ショートステイ)施設を利用できるよう、利用単価の設定を行う。
3.日帰り介護(デイサービス)事業
(1) 身体障害者が介護保険の指定を受けた日帰り介護(デイサービス)施設を利用できるよう、利用単価の設定を行う。
(2) 介護保険と同様、訪問入浴サービスを導入する。
4.日常生活用具給付等事業
介護保険と同様、住宅改修費の助成を行う。
〔参考〕
○介護保険法の円滑な実施のための特別対策
・障害者ホームヘルプサービス利用者に対する支援措置
低所得世帯で、障害者施策によるホームヘルプサービスを利用していた者等について、介護保険の利用者負担を3%に軽減する。
ア 介護保険の給付対象である福祉用具については、高齢身体障害者等が利用する場合であっても、原則として、介護保険の保険給付として貸与することとなる。
イ 介護保険で貸与される福祉用具の中に、補装具と同様の品目(標準型車いす等)が含まれているが、高齢身体障害者等がこれらの品目の貸与を受ける場合、介護保険の対象となる標準的な既製品の中では対応できず、障害者の身体状況に個別に対応することが必要と判断される障害者については、身体障害者福祉法に基づく補装具給付制度により対応できるものとする。
ウ 介護保険の対象となっていない補装具については、従来どおり身体障害者福祉法に基づく補装具として給付するものである。
エ 上記イの取扱いにおける留意事項
(ア) 要介護(要支援)認定を受けた障害者については、介護支援専門員(ケアマネージャー)や福祉用具専門相談員の助言を得ながら上記イの福祉用具の利用を判断することとなるが、その過程において次に該当する場合には、ケアマネージャー等が市町村の介護保険担当部署へ通知し、通知を受けた介護保険担当部署は身体障害者担当部署へ連絡するものとする。身体障害者担当部署においては、医師の意見書や更生相談所の判定に基づき判断する。
○ 障害者の身体的状況から、標準的な既製品の福祉用具を貸与することの適否が明確でなく、医学的判断により対応することが適当と考えられる場合。
○ 障害者の身体的状況及び外見上明らかに改造やオーダーメイドにより製作しなければならないと判断される場合。
(イ) 要介護(要支援)認定されなかった障害者等が身体障害者福祉法による補装具の給付を希望する場合には、その者の身体状況等を勘案し、その必要性等について補装具給付制度で改めて判断するものとする。
(ウ) 介護保険により保険給付として貸与された福祉用具を使用していた障害者の身体状況が変化し、介護保険の福祉用具で対応できなくなった場合には、身体障害者福祉法による補装具給付制度により対応できるものとする。
(1)介護保険制度と障害者施策の関係については、平成11年10月27日付けの事務連絡にて基本的な考え方を示したところであるが、平成12年度予算(案)の決定等、その後の状況も踏まえて考え方を示すので、必要な準備を進めていただきたい。なお、現時点では、事務連絡に示した方針のうち、変更した部分はないので申し添える。
(2)障害者についても、40歳以上の者は、身体障害者療護施設の入所者等を除き、介護保険の被保険者となり、保険料を納めていただくこととなる。そして、65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の障害者が要介護又は要支援状態となった場合には、要介護又は要支援認定を受け、介護保険から介護保険法に定める保険給付を受けることができる。その際、障害者施策と介護保険とで共通する在宅介護サービスについては、介護保険から保険給付を受けることが基本となるので、65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の障害者が、在宅介護サービスを利用しようとする場合は、介護保険法に基づく要介護等認定申請を行うよう指導されたい。
(3)この際、社会全体で介護を支えるという介護保険の趣旨や、介護保険の保険料を払う見返りとして介護保険からサービスを受けることが基本であること、後述のような低所得の障害者の利用料負担の軽減措置についても十分説明を行い、理解を得るよう努められたい。
(4)一方、障害者施策で実施されている在宅サービスのうち、ガイドヘルプサービスや各種の社会参加促進事業など介護保険の保険給付にはないサービスについては、引き続き障害者施策から提供される。また、施設サービスについては、介護保険施設と障害者施設では、それぞれ目的、機能が異なっており、これらに照らして、障害者施設への入所(通所を含む。)が必要であると認められる場合には、介護保険法に定める保険給付を受けることができる場合であっても、障害者施設への入所(通所を含む。)が認められる。したがって、これらの介護保険と重ならないサービスについては、要介護認定の申請を行う必要がないことを念のため申し添える。
(5)ホームヘルプサービスについては、原則として介護保険と共通するサービスであるので、65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の障害者は、介護保険の保険給付としてサービスを受けることが基本となる。ただし、介護保険法の保険給付に比べてより濃密なサービスが必要であると認められる全身性障害者や、コミュニケーション援助等固有のニーズに基づくサービスが必要であると認められる聴覚障害者及び視覚障害者並びに知的障害者については、社会生活の継続性を確保する観点から、介護保険では対応できない部分について、引き続き障害者施策から必要なサービスを提供することができるよう、平成12年度予算(案)において対応しているところである。
なお、障害者施策から介護保険制度への移行に伴い、サービス水準が低下することは一般的には考えにくいことから、現時点では上述の4障害種別(全身性、視覚、聴覚、知的)以外の65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の障害者については障害者施策からサービスを提供することは想定していないが、今後、要介護認定の最終的な結果に基づき、障害者施策からサービスを提供すべきと認められる事例があれば、当方まで情報提供願いたい。
(6)デイサービスについては、65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の障害者は、介護保険の保険給付としてデイサービスを受けることが基本となるが、創作的活動、文化的活動及び社会適応訓練といった障害者に固有のサービスを受ける必要があると認められる場合には、給食や入浴といった介護保険と共通するサービスも含め一括して障害者施策のデイサービスを利用することとなる。
なお、指定通所介護事業者の指定等を受ける場合には、介護保険給付としてサービスを提供する定員が、当該デイサービスを提供する事業所の利用定員のうち半数を超えないよう指導されたい。
(7)ショートステイについても、65歳以上(特定疾病による場合は、40歳以上65歳未満)の障害者は、介護保険の保険給付を受けることが基本となる。ただし、障害者が障害者施策で実施されているショートステイの利用を希望し、かつ、身近に介護保険の短期入所生活介護事業所がない場合など、市町村がやむを得ない事情があると認める場合には、障害者施策のショートステイの利用を認めても差し支えない。
(8)身体障害者療護施設等の入所者については、上述のとおり、介護保険の被保険者とならないが、退所後は介護保険の被保険者となるものであり、要介護等認定の結果該当すれば、介護保険施設に入所(要介護と認定された場合に限る。)し、又は在宅で介護保険の居宅サービスを利用することができる。なお、身体障害者療護施設等からの退所後すぐに特別養護老人ホーム等へ入所する必要があると認められる場合には、運用上、身体障害者療護施設等の入所中であっても要介護認定の申請等、介護保険給付を受けるための準備を開始して差し支えないこととするので留意されたい。この際、住民票を身体障害者療護施設等から直接特別養護老人ホーム等へ移す場合であっても、介護保険の保険者は、当該障害者の自宅等がある場合には当該自宅等がある市町村となるので、念のため申し添える。
(9)利用者負担については、介護保険給付としてサービスを受ける場合には原則1割負担、障害者施策からサービスを受ける場合には、従来どおり所得に応じた負担をいただくことになる。なお、平成12年度予算(案)において、介護保険法の円滑な実施のための特別対策として、低所得者の利用者負担の軽減を図るため、従来、障害者施策からホームヘルプサービスを受けていた65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の低所得の障害者(生計中心者が所得税非課税である場合)が介護保険給付としてホームヘルプサービスを受ける場合には、上述の1割ではなく3%に負担を軽減することとされている。