訪問通所サービスと短期入所サービスの支給限度額の一本化について(案) |
厚生省は7月24日、医福審合同部会に対し、訪問通所サービスと短期入所サービスの支給限度額を一本化する改正案を示しました。平成14年1月からの実施を考えています。
(現行)訪問通所サービスと短期入所サービスは別の区分で、訪問通所サービスは1か月単位、短期入所サービスは6か月単位(要介護認定期間)で支給限度額を設定。
(改正後)訪問通所サービスと短期入所サービスを統合した区分とし、支給限度管理期間を月単位(歴月)に統一。
(理由)
(1)訪問通所サービス、短期入所サービスの別なく、これらをどの程度他のサービスと組み合わせて利用するかについての利用者の選択性を高める。
(2)支給限度額管理の方法を簡素化して分かりやすいものとする。
(3)痴呆等により家族介護が困難な場合や同居家族が高齢、疾病などで短期入所サービスの拡大が必要な者については、訪問通所サービスの振り替え利用を認めたが、償還払いが原則であること、受領委任方式の場合も手続きが複雑であることから、このような二―ズに応えるため、現物給付化して短期入所サービスを利用しやすくする。
2.一本化した後の支給限度額
(1)単位数による管理
支給限度額を訪問通所サービスと短期入所サービスに共通のものとして統合し、簡素化することを踏まえ、一本化した後の支給限度額管理は、要介護度別の単位数管理とする。
(2)支給限度額の水準
現行の訪問通所サービスの支給限度額においても、各月単位でみれば、短期入所サービスを要介護度別に各月で平均的に利用したと仮定してその単位数とあわせて設定されていることや、市町村ではこのような標準的な利用形態をもとに給付費見込みを立てていることから、一本化後の支給限度額は、現行の訪問通所サービスの支給限度額とすることが適当。
(3)訪問通所サービスに係る保険給付実績が把握可能な直近の2か月間においてその利用が訪問通所サービスの支給限度額の6割未満である場合に、次期要介護認定期間に短期入所サービスの利用枠を拡大(要支援〜要介護4 2倍、要介護5 1.5倍)する措置(次期拡大措置)については、支給限度額を短期入所サービスを含めて月単位に統合することを踏まえ、廃止する。
(4)なお、短期入所療養介護に特有な出来高的医療部分である緊急時施設療養費及び特定診療費については、一木化後においては、訪問介護の特別地域加算や訪問看護のターミナルケア加算と同様、例外的に支給限度額管理の対象外の費用とする。
3.移行スケジュール等について
(1)一本化した支給限度額に移行し、サービス利用を現物給付化するためには、国保連の審査支払システム、保険者の受給者管理システム等の各種システムを変更する必要がある。
(2)現物給付化には、伝送等による事業者の報酬請求に対し、国保連の審査支払システムで支給限度額管理を行う必要があるため、@各国保連の審査支払システム自体の変更に加え、A審査支払システムの突合処理上必要となる多数の保険者の受給者管理システム、居宅介護支援事業者の給付管理システム、サービス事業者の請求システム等が変更され、かつ、B改正にあわせ、審査支払に必要なデータを新システムに改めて入力し、各システムと審査支払システムが正確かつ円滑に接続されるようにする必要がある。
(3)このため、新支給限度額の適用時期としては、
○システム変更に必要となる期間や、円滑な移行を図る観点から各種システムのテスト期間を見込む必要があること
○現行のシステムを運営しながらのシステム変更が必要であり、国保連において新たな審査支払システムにデータを改めて入力し、請求データを受け入れるための準備ができる期間(連休)が必要であること
O審査支払システムや保険者システムの変更のための予算が必要であること
等を考慮すれば、利用者共通に、平成14年1月を一本化された支給限度額の適用開始月とすることが適当。
4.短期入所サービスの提供方法についての留意事項
(1)一本化後の支給限度額の計算上、重度の要介護者については、相当長期間にわたって施設に入所することができるようになるが、このような利用については、
@短期入所サービスは、在宅生活の継続を支援していくために、施設に「短期間」入所する居宅サービスとして位置付けられているが、相当長期間にわたって入所する場合、実態的に施設入所と変わらなくなり、かえって施設入所の助長につながること
Aショートステイ床が病床となり、地域の他の利用希望者に対する対応が困難となるおそれがあるといった問題がある。
このため、ショートステイ床における短期入所サービスの相当長期間にわたる連続した利用については、一定の制限を設けることが適当。
(2)この場合、
@介護保険前の特別養護老人ホームへのショートステイについては、原則として1週間、必要がある場合にも1か月までの利用を基本的な考え方としていたこと
A施設入所の場合に、介護報酬上、処遇が落ち着くまでの短期間について初期加算として30日間を加算の対象としていることとの均衡等を踏まえ、ショートステイ床における連続した短期入所サービスの利用期日は原則として、30日間までとすることが適当と考えられる。
なお、要介護者の同居家族等の事由により、予め30日を超える利用が見込まれる場合や同居家族の疾病等により予め退所時期を設定することが困難な場合においては、当初から施設入所とし、退所が可能となった段落で在宅に復帰することを促進することとする。
なお、30日以内の利用であっても繰り返し短期入所サービスを利用するなど、不適正な利用については、居宅介護支援事業者の運営基準等による対応を検討する。