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サービス提供事業者の指定を行うのは都道府県ですから、住所・電話番号・職員数などの基本的な情報は都道府県庁が一元的に管理できます。
タイトルにあげた介護保険事業者情報提供システムについては厚生省からフォーマットが出されていますし、先進的な県では動きはじめているところがあるかもしれません。
ただし、ここでも問題になるのは空き情報をきちんと更新できるか、という点です。
昔、北海道は救急医療に関する情報提供システムを大々的にためしたことがありました。うちの診療所にもオールドマックに似た小さなコンピュータがおいてあります。NTTのキャプテンシステム(モデムを介した、文字による情報提供システム)に各病院の空きベッド情報を載せて、患者紹介がスムーズにいくようにする、というのが主な目的だったようです。その他に医師会の情報や中毒情報などもあったようです。
現在、このシステムは見向きもされていません。まさに文字どおりほこりをかぶったままです。何故そうなったか理由は明白で、患者を受け入れる側の病院が空きベッド情報を更新しなかったためです。利用者(われわれのような末端の診療所)からみれば、ベッド空き情報以外の情報は高い使用料を払ってキャプテンシステムを使う必要のない情報でした。(さらにいえば、かりに空き情報がわかっても結局は患者紹介は電話で依頼するしかなかったのですが。)
何故、受け入れ側の病院は空きベッド情報を更新しなかったのでしょう?これも理由は簡単で、忙しかったからです。多忙きわまりない中で、診療報酬のつかない情報更新をつづける動機はないでしょう。
この情報システムはたしかあの有名な「時のアセスメント」の対象になっていたように記憶しています。
現在、インターネット上で再度医療情報システムを再構築しようとする動きがあります。末端の医者としては、アクセスする価値のあるシステムにしていただきたいと願うばかりです。
話を元に戻します。介護保険事業者情報提供システムを運営するのが都道府県単位であれば、空き情報システムの更新がきちんとなされるかどうか不安があります。むしろ町単位で町内報的に運営するほうがきちんと目が届く分、サービス提供事業者も、更新しなければ!、という気分になるでしょう。スーパーのチラシや出前のメニューと同じように、ケアマネにとっては隣町の情報は余計な燃えるゴミに過ぎません。
これはインターネットを論じるときによく言われることですが、日本中・世界中に発信すべきグローバルな情報は確かにあります。おなじようにまた、隣近所でのみ有用な情報もあってしかるべきです。そろそろ「地域イントラネット」としてインターネットを利用してもよい時期ではないでしょうか。今回の介護保険の導入は自治体を巻き込んだ地域イントラネットの実験として考えてみれば別のおもしろさがあると思います。