地方におけるケアマネと情報化のかかわり

(その3)ケアマネジメントのコンピュータ化

医者とケアマネの仕事には共通点が多いようです。下の表に対比してみます。

医療

ケアマネ

問診・診察

インタビュー

検査計画・診断

アセスメント

治療計画・具体的な治療

ケアプラン・(ケアの実行)

治療評価

モニタリング

医療の場合、この一連の作業の中でのコンピュータ化はあまり進んでいません。これは病気の種類が非常に多いために検査・診断のアルゴリスムがコンピュータにわかる形で整理できていないからです。電子カルテやオーダリングシステムが一部の医療機関で取り入れられていますが、少なくとも今のところ診療の手助けになっているとはいいがたく、かえって医者の仕事を増やしているようです。

一方、介護の場合は、MDS-RAPsを見ればわかるように、問題領域の抽出が機械的に可能です。また要介護者の状態像はそれほど多くない数の典型像にまとめることができます。このためケアアセスメント→ケアプランの作成までが半自動的に可能です。この部分については介護保険実施までに多数のケアマネジメント支援パッケージソフトが発売されるでしょう。

もうひとつ、医療保険でいう診療報酬請求書(いわゆるレセプト)については、介護サービス行為の種類が医療保険よりはるかに単純であることから、上記のパッケージソフトに含まれることになるでしょう。さらに介護報酬請求を磁気化・伝送化するよう厚生省から指示が出されたことをあわせて考えますと、各ケアマネジメント機関はかならずソフトパッケージを導入するはずです。

ケアマネ関係のコンピュータシステム化の対象
ケアアセスメント
ケアプラン
介護サービスの調整(空き情報システム)
介護報酬請求

介護保険のシステム化のなかでもっとも実現に困難を伴うであろうと予想されるのは、”空き情報システム”です。要介護者に必要な介護サービスを具体的に曜日・時間ごとに当てはまるよう調整する仕事です。

これは技術的にはむずかしくなく、コンビニなどに導入されているPOSシステムをもっとずっと簡単にしたシステムで事足りるはずです。コンビニでは品物が売れた時点でPOSシステムを通じて販売情報として本部へ流れ、在庫の欠品がおきないよう補充が行われます。また販売情報から売れ筋商品をつかむことができます。このPOSシステムがあるからこそコンビニは狭い空間で消費者のニーズに合った多品種の商品をそろえることができるのです。

さてここで、介護サービス事業者の空き時間がコンビニの在庫に相当します。空き情報システムの場合は在庫の補充は簡単にはできませんので販売を自粛するか代替品を薦めることになります。買う商品は通常ひとつではなく、滞在型ヘルパー・巡回型ヘルパー・訪問看護・通所リハビリなどそれぞれべつのコンビニで買うことになります。もし各コンビニの在庫がわからなければいちいち電話で問い合わせることになります。これでは要介護者を交えてのケアプラン作成はかなり大変なことになります。

空き情報システムはPOSシステムのようにケアマネジメント機関とサービス提供機関との間を専用線で結ぶことができれば簡単に実現できます。ケアプラン作成時にオンラインでサービス提供情報がわかればプランの調整は容易なはずです。またこのように実際のサービス需要がつかめればサービス提供機関にとっても人的配置のうえで参考になることでしょう。

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