ケアマネのための訪問介護の分類・整理

平成12年2月の告示、および解釈通知の内容を整理したものです。
原文は定義と用語が入り混じっているために混乱しやすいので、以下のように表にしてみました。
家事援助型と複合型の境界は解釈しにくいのですが、全体の流れからみてみると、まず複合型かどうかを先に判断したほうがよいようです。つまり、家事援助も行うが、身体介護のうち身の回り介護や生活介護が混ざっている場合は複合型としてよさそうです。ただ、解釈通知の複合型で出されている例は、動作介護と家事援助の組合せなので、どちらかといえば家事援助中心型のような気がしますが、これも複合型でよい、ということなのでしょう。
従来の分類で家事援助型とされたものの一部は、複合型に含まれるようになると思います。ただし、料金が高くなるので利用者の納得が必要です。訪問介護の型を決定するのは訪問介護事業者側ですが、利用者負担も考慮し、ケアマネとしての意見を述べたほうがよいかもしれません。

「介護用語」の定義と分類

分類

定義と小分類

小分類の定義
身体介護
1)利用者の身体に直接接触して行う介助
2)これを行うために必要な準備及び後始末
3)利用者の日常生活を営むのに必要な機能の向上等のための介助及び専門的な援助(利用者のADLなどの向上のために生活動作を見守りながら行う手助けや専門的な相談助言など)
動作介護
比較的手間のかからないもの。
体位交換、移動介助、移乗介助、起床介助、就寝介助など
身の回り介護
ある程度手間のかかるもの。
排泄介助、部分清拭、部分浴介助、整容介助、更衣介助など
生活介護
長い時間で手間のかかるもの。
食事介助、全身清拭、全身浴介助など
家事援助
身体介護以外の訪問介護であって、掃除、洗濯、調理などの日常生活の援助。
次のような行為は家事援助の内容に含まれない。
@ 商品の販売や農作業等生業の援助的な行為
A 直接本人の日常生活の援助に属しないと判断される行為

「訪問介護の型」分類と定義

分類

定義と例示
身体介護中心型
専ら身体介護を行う場合
主として「
生活介護」や「身の回り介護」を行うとともに、これに関連して若干の家事援助を行う場合
(例)簡単な調理の後、食事介助を行う場合。
複合型
中間的な場合
(例)寝たきりの利用者の体位変換を行いながら、ベッドを整え、体を支えながら水差しで水分補給を行い、安楽な姿勢をとってもらった後、居室の掃除を行う場合。
家事援助中心型
専ら家事援助を行う場合
家事援助に伴い若干の「
動作介護」を行う場合
(例)利用者の居室から居間までの移動介助を行った後、居室の掃除を行う場合。

これらの型の適用に当たっては、1回の訪問介護(全体時間が1時間30分未満のもの)において「身体介護」と「家事援助」が混在するような場合について、各サービス行為の個々の時間によって細かく区分するのではなく、「身体介護」に該当する行為がどの程度含まれるかを目安に、全体としていずれの型の単位数を算定するかを判断する
訪問介護事業者は、居宅サービス計画作成時点において、利用者が選択した居宅介護支援事業者と十分連携を図りながら、利用者の心身の状況、意向等を踏まえ、適切な型が適用されるよう留意するとともに、訪問介護計画の作成の際に、利用者又はその家族等への説明を十分に行い、その同意の上、いずれの型かを確定すること

注意点
「身体介護中心型」又は「複合型」でサービス時間が1時間30分以上となる場合には、1時間30分を経過した後は、家事援助が中心となると考えられるので、30分を増すごとに83単位を加算する。(サービスコード表で言うところの、身体家事、複合型家事)
「家事援助中心型」の場合として、「利用者が一人暮らしであるか又は家族等が障害、疾病等のため、利用者や家族等が家事を行うことが困難な場合」とされたが、これは、障害、疾病のほか、やむをえない事情により家事が困難な場合をいう。
運用については、一律の基準で判断を行うものではなく、個々の事情に応じ、介護支援専門員、市町村等現場の良識ある判断によるべき。
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