昨年の事だった。例によって開陽台の近くを走っていて「クテクンの滝
9km」という標識を見つけた。「クテクンの滝」とは、たしか開陽台の
近くにあるという幻の滝のこと。標識が出ているということは、どうやら
簡単にいけそうだとそう思い、さっそくその道に入ってみた。
しばらく行くと舗装路が終わり、その先にはダートの道が続いている。
たぶんオフロードバイクや車なら楽勝で行けるところなのだろうと思うの
だが、ボクのバイクではちょっときついので、その時はそこまでで引き返
すことにしたのだった。
そして今年、よせばいいのにマウンテンバイクなんぞ買ってしまったボ
クはチャリンコ仲間のN君を誘って二人で「クテクンの滝」を目指そうと
考えたのだ。
まるで冒険家にでもなったような気持ちで、意気揚々と出発したボクた
ちだったが、延々続く上り坂に悲鳴をあげながら、一時間ほどかかってや
っと道の終点までたどり着いた。
そこには滝らしい物は何も無く、あったのは「クテクンの滝」への案内
看板と入山名簿?の入った小さな箱だった。
案内看板によると、滝はそこから1kmほど歩いたところにあるらしい。
だが、看板の向こうにあるのは藪・・・。どうやらこの藪の中を行けと言
うことのようだ。
藪の中を歩くことにためらいはあったが、せっかく苦労してここまでや
ってきたのだから、そう簡単にあきらめるわけにはいかないのだ。とにか
く行ってみようということになった。
入山名簿?に名前を書き、いざ藪の中に分け入ってみたものの、藪の中
にかろうじて道らしき物があるだけで、この道を1kmも行くのかと思う
と気持ちがすっかり萎えてしまい、結局100mほど進んだところで前進
を断念。敗北感に打ちひしがれながら引き返すことになった。
「クテクンの滝」はそれ相応の覚悟と装備で挑まなければならない所だ
ったのだ。
一緒に行ったN君はリベンジに燃えているが、ボクは戦意喪失のままだ。
「なんじゃく」なボクは、とても行く気になれない・・。
それにしても、あの道路標識が気にいらない。「クテクンの滝9km」
などと書いてあれば誰でも簡単に行けそうに思えてしまう。駐車場に車を
置いて、ものの2〜3分も歩くと見えてくるような、そんなイメージだ。
でも、実際には林道終点から1kmも藪の中を行かなければならないのだ。
「クテクンの滝」には立派な標識はいらないと思う。地元有志が立てた
ような手作りの看板があれば、それでよいのではないだろうか。
それとも、これからあそこを観光地として整備する計画でもあるのだろ
うか。ボクにはそれが良いことかどうかはわからないが、もしそうなった
としたら、その時には行ってみようと思う。「なんじゃく」なボクには近
寄ることさえ出来なかったあの滝の、成り下がった姿を見てやるのだ。
クテクンの滝へ行くには、この藪の中を
1kmほど歩かなければならない。
「クテクンの滝」へ行ってみようと思ったかたへ
1.クテクンの滝はクテクンベツ川の上流にあります。
2.熊が出る可能性がありますので、十分に気をつけてください。
3.林道終点から藪の中を歩いた後、川の中を歩くことになるそうです。
それなりの準備が必要と思われます。
4.何よりも、山歩きに慣れた人以外は行かない方が良いと思います。