どうやらボクの住むこの地にも桜の時期がやってきたようだ。
ボクの知る限り、この地にソメイヨシノは無い。あるのはエゾヤマザクラや
チシマザクラといったところだろうか。
ソメイヨシノと言えば、公園などで辺り一面を桜色に染める派手さが印象的
だ。始めてその光景を見た時のその迫力は、強烈にボクの脳裏に焼き付いてい
る。ソメイヨシノは、きっとそんなふうに公園などで楽しむ桜なのではないだ
ろうか。
それに対して、例えばエゾヤマザクラは山の中にひっそり咲くのが似合って
いると思う。木々の緑の中からじんわりと染み出したように桜色の花をつける
一本のエゾヤマザクラは可憐で美しい。
そもそも桜とは本来そのような物だったのではないだろうか。
誰も通らないような道でそんな桜を見つけては、しばしそれに見とれる・・。
きっとそれが正しい桜の愛でかたではないかと、ボクはひそかに思っている。