虹別で見つけた「ミズナラ夫婦木」と書かれた看板が、気になって、
ついに、その、夫婦木を見にやってきた自分は、いま
その夫婦木が、あるであろう林の前まで、たどりついていた。
バイクを降りて、歩いて林の入り口まで来ると、
あの手作りの看板が、あるではないか。
間違いない、この道をいけば夫婦木までたどりつける。
そう確信を持って、林の中に入って行った。
林の中は、他に人などいる気配もない。
まさかとは思うけど熊なんて・・・・・・・・・・。
熊よけに、歌でも歌おうかなぁ。・・・♪あるーひぃ、森のなかぁー・・・・♪
しかし、こんな状況で「森の熊さん」を歌っている自分って、何なんだろうか。
別な歌をと思ったのだが、すでに頭の中は「森の熊さん」が、
ループになってて、ほかの歌が思い浮かばない・・・。
まっ、いいか・・・。
再び「森の熊さん」を歌い出す。のんきでいいねえ、しかし・・・。
100mほど林の中に入ったところで、道は行き止まりとなり、
夫婦木は、そこにあった。
無造作に枝を広げた大木が2本、5mほどの間隔をあけて、
無愛想に突っ立っている。
まわりには説明書きのようなものがいっさい無いので、本当に
それが夫婦木なのか確認することはできないのだが、状況からみて、
ほぼ間違いなく、自分の目の前にある木が「樹齢400年のミズナラ夫婦木」
であると、思われた。
幹は直径1m以上はあるだろうか。確かに周りの木に比べると、
ひときわ大きな木である。
手前のほうの幹に触れてみる。
400年前、このあたりは、どんなだったのだろう・・・。
たぶん、うっそうとした原生林のまっただ中だったのだろうなぁ・・・。
人など誰も踏み込まないような、そんなところだったのではないだろうか。
今はというと・・、遠くの方からではあるけれども、トラックの
走る音が聞こえてくる・・・。
そもそも、この林の他の木は植林された物かもしれないし・・。
実際、この道東にしても、未開の地などほとんど残されていないのだ。
はたして、原生林と呼べる物がどれぐらい残っているのか・・・。
夫婦木に敬意を表し、かしわ手をうって、おじぎをしてから
その場を立ち去ることにした。
それにしても、自分の想像を思いっきり裏切ってくれたなぁ・・・。
林から出ると、遠くの方で自分の愛車が寂しげに主人の帰りをまっている。
さあ、帰るぞ・・・。
心の中でそうつぶやいていた・・・・・・・・・。
そうそう、帰りは別な道を通って、転倒することなく帰りましたっ!!