6月のある晴れた日、知床をまわってここまでたどり着いた自分は、
心地よい疲労を感じながら、ただぼんやりとイワツバメ達の舞を見つめた。
支離滅裂に勝手に飛び回るその姿は、 なんだか、自由で楽しそうにも見える。
でも、彼らはああやって飛びながら虫を食べているのだ。
一時間ほど前、食堂の椅子に座ってカレーライスを食べた自分よりも
はるかに労力を使い、必死に食事をしている。
イワツバメ達の乱れ舞は遊びではなく、生きるための舞なのだ。
そんなこと分かってはいても、青空で繰り広げられるその舞を、
ただ「綺麗だ」と、自分はそう思って見つめていた。