そんな大雪原の向こうの空では、
淡くてどこか優しい色の夕日がゆっくりと雲の中に沈んで行く。
その様子をトドワラ駐車場でただぼんやりと眺めてから帰路についた。
途中、なにげに湾の対岸を見ると、
対岸の向こう、空と地の境に見える林が、ゆらゆらと炎をあげて燃えている・・・。
なんだろうと思って車を止めてその様子をしばらく見つめていると
やがて、その炎は綺麗な弧をえがいた。
その時になってそれが、まさに今沈み行く夕日であることに気づいた。
一度雲の中に沈んでいったあの夕日が、
地平に沈み行くその時に、雲の切れ間から顔を出したのだ。
その光景は、
とどまることなく変化する雲と沈み行く太陽との偶然の産物であった。
それを自分は、まさに偶然に見ている・・。
その時自分は、その光景に「何か」を感ていたような気がする。
それは何だろう・・。「幸せ」のようなものだろうか・・。
うーん、そんな簡単な言葉で表せないような「もの」のような気がする・・。
やがて夕日が完全に沈み、あたりが少しずつ暗くなり始める中、
自分は今度こそ帰路についた。
・・・ああそうだ、デジカメしておくんだった・・・。