sika1

真ん中へんにエゾシカが写っています・・。わかるかなぁ?・・


2.なんじゃくライダー エゾシカに負ける
道東に限ったことではないと思うけれど、道を走っているとエゾシカをよく見かける。
エゾシカってさあ、案外大きいんだ。そのエゾシカとまともにぶつかろう物なら車は大破。
単車なら命取りなのだ。自分の周りには鹿とぶつかって車を壊した人って結構多いんだ。
また、農家の人にとっては、単に作物を荒らす有害獣でしかないのかもしれない。

でも自分は、エゾシカに出会うとやっぱり嬉しい。
出会ったことがある人なら解ると思うけど、エゾシカって微動だにせずに、じっとこちらの
様子をうかがっていて、それからおもむろに、後ろを振り返りつつ去って行くか、それとも、
一目散に走り去るかである。

ある日の事である。
早朝に開陽台の近くを走っていると、道路のすぐ脇にエゾシカが居るのを発見した。
自分はゆっくりと単車を止めた。10mぐらいの距離だ。すでに、相手はこっちの様子をじっと
伺っている。微動だにしない・・・。
自分も相手を脅かさないようにじっとして様子を伺う。

それにしても、夏毛のエゾシカは美しい。赤っぽい茶色の毛。胴の部分には白い斑点があって、
お尻の白いのがまた良い。ほっそりとのびた首の上には小さな顔。ぴんと張った耳は案外大きい。
そして大きくて愛らしい目。その目がじっと自分を見つめているのだ。
このエゾシカ、牧草地の緑をバックに浮き上がって見える。(夏毛のエゾシカは、緑をバックにすると
本当に浮き上がって見えるんだ。)

どれぐらい見つめ合っていただろう。エゾシカはさっぱり逃げる様子を見せない。
おや、こいつ自分と勝負するつもりか?にゃにおー負けるものかっぁ・・と言うわけで、さらに
にらめっこは続くことに・・・。やつもただじっとこっちを見つめている。んーもーだめだあって
自分が先に目をそらして、うつむいてしまった。もう一度目を上げたときにはエゾシカは さっさと後ろを
向いて去っていくところだった。勝ち誇ったように堂々と、ゆっくりと、そしてとうとう一度も振り向くこと無く、
林のなかに消えていった。
こっち向けー、もう一度勝負だぁ・・・という自分の声は、ただただ むなしく響くだけ・・・。

これって自分がエゾシカに負けたってこと?そうなの? そうなんだね・・・・・。


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