5月の中旬ごろから咲きだしたのだが、
そのころから天候が不順になり寒い日が続いた。
そんななかで、桜は次々と花をつけてゆき、
いつのまにか満開となっていた。
そんなチシマザクラを眺めていると、
突然草色の鳥が飛んできてその枝にとまった。
わずか2mの距離だ。
スズメより小さくて、目の縁が白い。
メジロだった。
メジロは道東ではあまり見ることのない鳥だそうで、
自分もこの時初めて見たのだ。
その鳥のしぐさを観察してみると、
なにやら花の奥にくちばしをつっこんで何かを吸っているようだった。
それはわずか1秒ほどの動作で、その後また別の花を見定めて、
この動作をくりかえしている。
どうやら、蜜を吸っているらしかった。
考えてもみなかったが、桜にも蜜があるらしい・・。
やがて、メジロは飛び去ってしまったが、
気になるのは桜の蜜のことだ。
いったいどんな味がするのだろうか・・・。
ちょっと味をみたくなった・・。
さっそく花を根本からもいで、根本の部分を切って
その部分を吸ってみた。
桜の香りが口の中いっぱいに広がって、
そのあとに微かではあるが、ほのかな甘みが舌の上に感じられた。
素朴だけど、なんともおもむきのある風流な味だった。
メジロめ、グルメなヤツだ・・・。
その後、メジロは毎日のようにやってきて蜜を吸っていたが、
そのメジロもいつのまにか姿を見せなくなり、
チシマザクラの花もほとんど散ってしまった。
桜の時期も、もう終わりである。
そして今、こちらではたんぽぽが咲き乱れている。