今回、緯度が高い北海道が見るのに有利とのことだったけど、
確かによく見えていた。
家の玄関から出て北西の空を見上げると、みごとに尾をひいたあの彗星を
見ることが出来た。
あれは、太陽への最接近の数日後のことだったと思う・・・。
用事があって釧路に行った日だった。
帰りが夜になってしまい、暗闇の中、車を走らせていた。
実際、釧路を出てしまうと、しばらくの間 街はおろか人家さえも
見あたらないような、そんな道を延々と走ることになるのだ。
ちょっと小用をもよおして来たので、車を止めて
暗闇の中で 立ち小便・・・。へへ・・・。
なにげに空を見上げると、星がやたらと綺麗であるのに気づいた。
用をすませたあとに、ヘボ彗星はどうかと思って北西の空を
見てみたら・・・・・・・・・、
びっくりした。
ものすごく綺麗な、そしてものすごく長い尾をひいたヘボ彗星がそこにあった。
しばらくの間、北西の空に、ただ静かにたたずんでいるその彗星を
ただただ呆然と見つめていた。
そして、暗闇のなかでぽけーっとたたずんでいる自分にふと気づいた。
心の中でもう一人の自分が
「こんなところで大の男がぽけーっと星を見ているのって
かっちょわるいんでないかい?」
とささやく・・・・。
「うん・・・、確かにかっちょわるいかも・・・、でも、もう少しこのまま見ていたい・・・。」
「・・・・でも・・・、寒いからもういいや・・・。」
結局、寒さに負けた自分は車に乗り込んで、また走り出した。
家にたどり着いてから、いつもの場所で北西の空に目をやると、
そこには、普段見ていたのと同じヘボ彗星があった。
さっきまでみていた、あの彗星とくらべると、どこかくすんだ感じがした。
日本のはじっこの、ここ標津町でも、街灯りというものが、
思いのほか明るく、そんな街灯りごしに見るヘボ彗星が、
本来の輝きでないことに、そのとき初めて気がついた。
もし、あなたが、都会の街灯りのフィルター越しにしか
ヘール・ボップ彗星を見ていなかったとしたら、後悔すべきである・・・・。
そう思う・・・・。