長すぎた冬眠から単車を目覚めさせようと思い、倉庫から
単車を引っぱり出してエンジンをかけようとしたら、セルが
回らない。バッテリーがあがっているようだ。仕方がないの
で車のバッテリーにつないでセルを回すことにした。
ボクの愛車のバッテリーはシートの下の部分にあって、車
からバッテリーをつなぐためには、シートのユニットをはず
さなければならない。どのようにしてシートのユニットをは
ずしたかは説明しないが、ちょいと面倒な作業だった。
さて、せっかく回したエンジンだし、本当は今日乗るつも
りは無かったのだが、その辺をぶらりと走ってみることにし
た。着替えるのも面倒なので、作業服に長靴という出で立ち
にメットをかぶり、グローブをつけてフラリと走り出した。
時間は4時を回っていた。気温はたぶん15度を下回ってい
たのではないか。風が冷たい。まぁ、いつものことだが・・。
「とりあえず、野付に行ってみよう。」
そう思うとボクは、アクセルを静かに開けていったのだった。
例によって寒さが身にしみる。でも、半年以上ぶりの単車
は、やはり気持ちが良いものだ。
ボクがライダーであることを実感する瞬間とは、寒さに震
えながら、それでも単車に乗っていることにある種の快感を
覚えるときだ。
そして寒さに負けて早々に引き返す時、ボクがなんじゃく
であることを実感する。
ナラワラあたりまで来たときに風がさらに冷たくなった。
「今日はもういいや・・。」
ナラワラの駐車場でUターンをして引き返す道すがら、昨年
の始動のことを考えていた。4月の末だったろうか、あの時
はまだ流氷があった。流氷をバックにデジカメしたのは、ト
ドワラ駐車場からさらに向こう側だった。
あの時から比べれば今日はまだ暖かい。なのにナラワラで
引き返したボクは、なんじゃくに磨きがかかってしまってい
るようだ。
まあいいや、気ままに乗ればいいのだ。それがボクのスタ
イルなのだから。
こんな調子でボクは「スーパーなんじゃくライダー」とな
って2000年の始動をしたのであった。