その雪原を猛スピードで走ってくる赤い物体を発見した。それは赤いスノーモ
やがて牧草地を出て道路脇の雪の上を走り出したそれを追い抜くときに、彼と
開陽のあたりを走っていた。結局車に乗っていてもこういうところを走るのが
好きなのだ。牧草地にまだらに見え始めていた地肌も、先日の猛吹雪でふたたび
雪に覆われて一面の雪原となっている。
ビルだった。その車体はピカピカに磨き上げられていて、キラキラと輝いている
。それを操っている彼はメットにゴーグル、”お面”を付けてレース用のスーツ
のようなものを着ている。
目が合った。ゴーグル越しに見えた彼の目は凛としていて、まるで戦う男の目だ
った。
「ホエ〜、カッコエエ〜。」思わずそうつぶやいていた。ボクが女だったら彼に
恋しちゃってるな。