6.猫車のおやじ

「そういえば、今年まだ、あの おやじ見ないなぁ・・・。」
「そういえば、そうだなぁ・・・・。」
「どうしたんだべか・・・。」
この間、仲間内で ふと、こんな会話になった。

そのおやじは、猫車(工事用の一輪車)に荷物を積んで、てくてくと歩いて旅をしている。
通称 ”猫車のおやじ”である。

ここ数年、道東のどこかで、必ず見かけたものだ。
「おれ、あそこで見かけた。」
「えっ、まだそんなとこ歩いてるの?おれ、昨日見かけたときは、あの辺にいたけど・・。」
というような調子で、よく話題になった。

とにかく、のんびりしているのだ。
ときには、路肩にボーっとすわりこんでいたり、たちションをしていたり、
なんだか、とても のんきなおやじだった。

あのおやじは、いったい何を考え、毎年、どこから来て、どこに行くつもり
だったのだろうか・・・。

あのおやじは、路肩に座り込んで、いったい何を見ていたのだろうか・・・。

あのおやじは、今でも元気で、どこかを歩いているのだろうか・・・。

どうしてなのだろうか、今年はだれも、猫車のおやじを見ない・・・。


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