彼の顔を見て初めて、世間ではお盆休みが始まっていることに気がついた。
「そういえば昨日、お昼のTV番組で標津出てたよ。
その日の夜、外に出ると暗闇の浜の方から、
八月八日 立秋の日、午後になってから幼なじみのA君がシュウマイを持ってひょっこりと現れた。
彼は、神奈川の某機械メーカーで働いている。
「標津は寒いなぁ。」
そう言う彼の、いかにも薄着な服装を見ながら自分は
「そんな恰好してるからよぉ。」
と、たしなめる。
8/7は標津湿原が天然記念物(だったかな・・)に指定された日なんだって。
もう草木が色づいているなんて司会の人が言っていたよ。」
と彼。
それを聞いてウンウンとうなずきながら、
「もう標津は秋だよ。」
自分はそう言った。
いつの間にか桜の葉も、ナナカマドの葉も紅葉が始まっているのだ。
ドドーンという時化の波の音と一緒に、
昨日までの 湿った感じの風とは微妙に違う、
どこか凛とした気配の風が吹いていた。
立秋の日の風は、本当に秋の始まりを感じさせるそんな風だった。
そして・・、土産のシュウマイは旨かった・・。