自称なんじゃくライダーの自分でも、やはりワインディングは好きで、
ゴールデンウイークのせいか、いつもより多い車にイライラしながら、
横断道の羅臼側はタイトなコーナーが続く。そのいくつめかのコーナーを
畑の風景を走りながら根北峠を通って標津に入ると、
「今日は店も暇みたいだから、午後から出かけても良いよ。」
母のその一言で、自分は単車を出した。
どこに行くあてもなく、まずは給油しようと思い、行きつけのGSに立ち寄る。
「今日はどこへいくんですか?」
GSの女の子が聞いてきた。
「まだ決めてないんだよね。」
そう答えると、
「知床横断道なんてどうですか?」
と、彼女は言う。
「うーん、そうねぇー・・・」
気の乗らない返事をしながらも、それいいなぁーと思っている自分。
結局GSを出るときには、知床横断道に行くことに決めていた。
特に知床横断道はとても好きな道なのだ。
この時期、まだ午前10時から午後3時半までの部分開通の知床横断道では、
残雪の風景の中を走ることが出来て、少し寒いけれど、
それはそれでとても気持ちのいいライディングを楽しむことが出来るのだ。
楽しむと言っても自分は別に、コーナーをギリギリのスピードでクリアするような
そんな走りをするわけではない。
前を行く車に追いつくことなく、後ろから追い立てられることもなく、
自分のペースで、ただユラユラと揺れるように峠を走りたいのだ。
知床横断道に入ったが、案の定すぐにスピードの遅い車の列に追いついてしまい、
少し興ざめしながらその後について横断道を登っていった。
まわっている最中に突然ドドーンと羅臼岳が姿をあらわす所があって、
そのコーナーの途中から見るその景色がとても好きなのだが、
なにせコーナリングの最中に、よそ見をするような余裕もなく、
わずか0.1秒ほどだけチラリとそれを見るのだ。
結局、車の後についたまま峠の駐車場までたどり着くと、そこは
びっしりと車で埋まっていた。
少し休憩をとった後、さっさとウトロへ向かった。
横断道のウトロ側は高速コーナーが続き、正直に言うと
ちょっとビビリながら下って行く。
やがてウトロに近くなると、なんだか風が暖かいのに気づいた。
そうなのだ。知床連山を挟んでオホーツク海側と根室海峡側では
明らかに気候が違う。
根室海峡側よりもオホーツク海側の方が暖かいのだ。
その証拠に、標津ではまだ咲いていなかった桜がウトロでは満開だった・・・。
気候の違いは風景の違いにもあらわれている。
オホーツク海側は見渡す限り畑の風景だが、
根室海峡側は大酪農地帯で、その風景はどこまでも続く牧草地となる。
途端に風が冷たくなり、そして牧草地の風景になる。
そして、延々と続く直線の道を走って標津市街に入り、自分の知床ツーリングは終わった。