摩周湖の近くにある白い壁の某レストランに初めて入ったのは、もう何年も前のことだ。
そのハヤシライスが美味しいのかどうかは、自分の舌ではわからない・・・。
そう、年に一度だけ、ハヤシライスを食べにそのレストランに行くのだ。
怪しげなライダーが年に一度ふらりとやってきて、ハヤシライスを注文することを、
まあとにかく、「来年は行くぞ。」と心に誓う自分であった。
「あぁ、そういえば今年はとうとう行かずじまいだった・・。」
白い壁の家を見て、あのレストランのことをふと思いだした・・。
いつものようにソロツーリングの途中、昼食をとるために、なんとなく立ち寄ったのが
始まりだった。
店内に入って、メニューを見ていると、なぜかハヤシライスの文字が目にとまって、
自分は迷わずハヤシライスを注文した。
たぶん、そのレストランの自慢料理は他にあるのかもしれない。
でも、なんだかその店のハヤシライスが気に入って、年に一度そこに立ちよって、
ハヤシライスを注文するようになった。
店の人は、はたして気づいているだろうか・・・。
「今年は来なかったね。」なんて話しているだろうか・・・。
いや、たぶん、そんな男がいることなんて気づいてもいないだろう・・。