<旧商工ファンド> 公正証書無断作成
裁判で認め慰謝料払う(毎日新聞)

 毎日新聞2004年11月26日付けは、次のような記事を掲載している。

<旧商工ファンド> 公正証書無断作成 裁判で認め慰謝料払う

 商工ローン最大手のSFCG(旧商工ファンド)による公正証書の無断作成問題で、不当に給与などを差し押さえられたとして慰謝料を求めて裁判を起こした保証人ら7人に対し、同社が計1430万円を支払っていたことが分かった。同社はこれまで毎日新聞の取材に「契約者にはきちんと公正証書の説明をしている」と話していたが、自ら請求額全額の支払いに応じており、裁判で全面的に非を認めた形だ。

 訴状によると、宮城県内の6人は、SFCGから貸し付けを受けた水道工事会社や設計会社、塗装会社の保証人になった。いずれも経営不振で営業を停止したため、返済状況を調べたところ、水道工事会社と設計会社は元金と法定利息を完済し、過払い状態になっていた。塗装会社は法定利息の残金があったため、残金を支払った。そのうえで債務者の設計会社社長を含めた7人が、債務がないことを確認する裁判をそれぞれ昨年2から10月にかけて仙台地裁に起こした。

 SFCGはその直後、貸し付け契約の際に合意のうえ作成したとする公正証書を基に7人の給料や売掛金を差し押さえた。7人は公正証書を無断で作成されたとして「公正証書は無効で、差し押さえも不当」と同社に慰謝料を求めて昨年11月、同地裁に提訴した。

 原告側は慰謝料を求める裁判で、大島健伸社長が不当行為をすべて指示していると主張し、大島社長個人も被告に含めた。先月18日に本人の証人尋問が予定されていたが出廷せず、同社はこの日、請求を全面的に認める「認諾」の手続きをして裁判は終わった。

 また債務がないことを確認する裁判はいずれも原告側の主張にほぼ沿う形で和解した。

 原告側の新里宏二・弁護団長は「SFCGが公正証書の悪用を実質的に認めたものと考えている。他の裁判でも同社の違法性が認められやすくなったと思う」と話している。

 同社は「勝訴する可能性はあったが、大島社長が証人として召喚され、(マスコミに)センセーショナルに取り上げられるおそれがあったので、やむを得ず訴訟を終結させた」とコメントした。【伊藤正志、石丸整】


認諾
民事裁判で、被告が原告の請求を無条件に認める手続き。請求が全面的に認められた判決と同じ効力を持つ。通常、裁判で争っても敗訴する可能性が極めて高い場合に、裁判を続けて無駄な労力や費用をかけるのを避けるために行われる。




感想

 利息制限法による元本充当計算で、すでに過払いとなっているにもかかわらず、公正証書で強制執行をしている事例は、釧路地方裁判所でも、国家賠償訴訟として継続している。

 この認諾は、非常に大きな意味をもつと思われる。